2021年-2022年モデルの4K液晶テレビは旧型になってくるので、お買い得な価格になってきています。
2021年-2022年の4K液晶テレビは、AI映像処理プロセッサ(映像処理エンジンとも言う)、miniLED、量子ドットなどの技術が、主にハイエンド機種に搭載されました。
高輝度、高色域の性能向上とそれを制御する映像処理技術は、4K液晶テレビが有機ELテレビの画質に近づく鍵となっていて、2023年では更に進化していくでしょう。
そんな中、全体的な流れでは、エントリーモデルからハイエンドモデルまでの画質差が縮まっているのも事実で、どの4Kテレビを利用しても、満足できる製品が揃ってきて、選択肢が広くなっています。
そこで、2021年および2022年モデルの中から、10年程度は満足して使用できる、お買い得になってきた映像表現に優れた4K液晶テレビを紹介していきます。
※現時点の正確な情報は各放送配信およびサービスサイトで確認の上、ご利用ください。
4Kテレビの映像表現について
4Kテレビで4K画質を楽しむ機会に比べると、地デジやストリーミングサービスなどのHD画質相当の映像を見る機会の方が多いと思います。
それでも4Kテレビは、従来のハイビジョンテレビよりも綺麗に感じます。
これは、4K画質を表現できる高性能な映像処理プロセッサによるものであり、HD画質相当の映像をテレビ映す際にも、4Kテレビで最適な映像表現になるように制御しているからです。
この制御は、映像を瞬時に判断できるデータベースとAIによって実現しており、そこに高輝度で色域の広い再現できるハードが加われば、映像表現の質の向上につながります。
ソニーの映像処理プロセッサの進化
4K液晶テレビの映像表現を作り上げている映像処理プロセッサの進化について、ソニーを例に紹介します。
2020年モデル
4K液晶の下位グレード(X8000H,X8500H,X8550H)
2020年モデルの下位グレードでは、映像処理プロセッサに「HDR X1」を搭載しています。
コントラストを改善する「HDRリマスター」
高精細さを制御する「4K X-Reality PRO」
色を鮮やかに描写する「トリルミナスディスプレイ」
などで、映像の高画質化を制御します。
4K液晶のハイエンドグレード(X9500H)
2020年モデルのハイエンドモデルは、映像処理プロセッサに「HDR X1」から進化した「X1 Ultimate」を搭載しています。
コントラストを改善する「HDRリマスター」
高精細さを制御する「4K X-Reality PRO」
色を鮮やかに描写する「トリルミナスディスプレイ」
などで、映像の高画質化を制御します。
「X1 Ultimate」は「HDR X1」に対して、約2倍のリアルタイム処理性能を持っているプロセッサで、「HDR X1」では処理する時間が足りない細かな部分まで解析処理できるようになり、更なる高画質化が図れるようになりました。
2021年モデル
液晶下位グレード(X80J,X85J)
2021年モデルの下位グレードモデルの映像処理プロセッサは、「HDR X1」を搭載しています。
コントラストを改善する「HDRリマスター」
高精細さを制御する「4K X-Reality PRO」
色を鮮やかに描写する「トリルミナスPRO」
となっており、2020年モデルから大きな進化はありません。
液晶上位グレード(X90J,X95J)
2021年のハイエンドモデルの映像処理プロセッサは、「認知特性プロセッサ「XR」」が搭載されました。
コントラストを改善する「XR HDRリマスター」
高精細さを制御する「XR 4K アップスケーリング」
色を鮮やかに描写する「XR トリルミナス プロ」
とAIを取り入れた制御に進化しました。
この「認知特性プロセッサ「XR」」を搭載した機種はVRABIA XRと呼ばれています。
認知特性プロセッサはA Iにより、見ている人が映像の中の何に注目するかを認識し、その部分の映像を高精度化していく処理を実行します。
人の顔や明るい部分,動きのある部分などは、見ている人が注視している部分と判断しているようです。
〔参照元: 人の脳のように映像を認識する認知特性プロセッサ「XR」が表現する“画”と“音”〕
2022年モデル
液晶下位グレード(X80K,X85K)
2022年モデルの下位グレードの映像処理プロセッサは「HDR X1」を搭載しています。
コントラストを改善する「HDRリマスター」
高精細さを制御する「4K X-Reality PRO」
色を鮮やかに描写する「トリルミナスPRO」
と2020年/2021年モデルから大きな進化はありません。
「HDR X1」は2015年に4Kテレビに搭載されて以降、使用されてきているプロセッサです。
液晶上位グレード(X90K,X95K)
映像処理プロセッサは「認知特性プロセッサ「XR」」を搭載しています。
コントラストを改善する「XR HDRリマスター」
高精細さを制御する「XR 4K アップスケーリング」
色を鮮やかに描写する「XR トリルミナス プロ」
2021年モデルから大きな進化はありません。
ソニーの映像処理プロセッサの進化まとめ
ここまでのソニーの映像処理プロセッサより、2015年に開発された「HDR X1」が2022年モデルにも搭載されており、「HDR X1」の性能が4Kテレビでは十分なものであることが伺えます。
更に、miniLED、量子ドットの新技術が搭載された最上位モデルは、認知特性プロセッサ「XR」で対応しています。
今後も、映像処理プロセッサは進化を続けるでしょうが、現行のハイエンドモデルに搭載している映像処理プロセッサであれば、向こう10年程度は画質に不満なく4Kテレビを使用できると考えます。
その他メーカーの映像処理プロセッサ
各メーカーの映像処理プロセッサも年々進化しています。
以下にメーカー別の2021年モデルおよび2022年モデルの映像処理プロセッサをまとめました。
2021年4K液晶テレビ映像処理プロセッサ
【2021年液晶モデル】
2022年4K液晶テレビ映像処理プロセッサ
【2022年液晶モデル】
mini LEDと量子ドットについて
2022年はmini LEDと量子ドットが4Kテレビ業界を賑わせました。
ハードの改善は、誰もが理解しやすい付加価値として受け入れられます。
現行モデルでmini LEDと量子ドットを搭載しているモデルは数多くあり、ソニー「BRAVIA X95Kシリーズ」や東芝「REGZA Z875Lシリーズ」、ハイセンス「U9Hシリーズ」、シャープ「EP1シリーズ」などになります。
mini LEDと量子ドットは、パナソニックの4Kテレビには搭載モデルがありませんが、今後の主流になってくると考えられ、最新技術に惹かれる方は、mini LEDと量子ドット技術搭載の4Kテレビを検討した方が良いと思います。
mini LED
mini LEDは、バックライトに使用するLEDのサイズを小さくし、配置数を増加することで、輝度を高めることができます。
今後は、更に小型化し、ナノLEDの登場も間近だと考えられています。
LEDバックライトの極小化は、バックライトのエリア制御の高度化につながり、液晶テレビの輝度表現を高めてくれます。
従来以上の濃淡の表現も可能で、今後一層の技術革新が期待されます。
量子ドット
量子ドットとは、光をナノサイズの粒子に当て、光の波長(色)を変換する技術です。
光の3原色(赤、緑、青)を取り出す効率が良く、色域を広く再現できます。
AI映像処理プロセッサを基準にした4K液晶テレビの選び方
4Kテレビは、AI映像処理プロセッサの性能の良いものを選ぶようにしたいと考えます。
そして、mini LEDと量子ドットの搭載については、予算との兼ね合いになってきます。
高機能なAI映像処理プロセッサを搭載したモデルであれば、10年程度は楽しめます。価格も手頃になったモデルであれば満足度も高いものと思います。
高機能なAI映像処理プロセッサで価格が手頃になっていて、できればmini LEDと量子ドットが搭載されているモデルが狙い目となります。
おすすめのAI映像処理プロセッサ
各メーカーのおすすめAI映像処理プロセッサは以下の通りです。
ソニー:認知特性プロセッサ「XR」
人が目で見たような、自然な美しさで映像を描き出す
パナソニック:オートAI画質 ヘキサクロマドライブ
AI(人工知能)がシーンに合わせて映像を自動で最適化
東芝:レグザエンジンZR α
人が見ている世界をより自然な美しさで再現
シャープ:Medalist S2X、Medalist S3、Medalist S4X
100万通り以上の映像を学習したAIを活用、より臨場感のある映像を提供
AI映像処理プロセッサで選ぶおすすめ液晶モデル
AI映像処理プロセッサで選ぶおすすめの液晶モデルを紹介します。
ソニー XRJ-X95J(2021年モデル)
ソニーの2021年液晶ハイエンドモデルになるXRJ-X95Jは、65型で発売当初30万円を超える市場価格でしたが、現時点(2023年1月)は65型で20万円を切った価格帯で購入できます。
AI映像処理プロセッサは、認知特性プロセッサ「XR」
XRJ-X90Jも同様な性能を持っていますが、XRJ-X95Jとの価格差がなくなっていることを考えると最上位となるXRJ-X95Jの方がお買い得感があります。
2022年モデルのXRJ-X95Kは、Mini LEDバックライト、量子ドット技術の最新機能が魅力です。
65型で30万円を切ってきているので、今後の価格推移次第で狙ってみるのも良いと考えます。
項目 | X95Jシリーズ | X90Jシリーズ | X95Kシリーズ |
---|---|---|---|
モデル年式 | 2021 | 2021 | 2022 |
画面サイズ | 65,75,85 | 50,55,65,75 | 65,75,85 |
映像処理プロセッサ | XR | XR | XR |
Mini LEDバックライト | ー | ー | ○ |
量子ドット技術 | ー | ー | ○ |
バックライトエリア制御 | ○ | ○ | ー |
4K倍速パネル | ○ | ○ | ○ |
地デジ高画質 | ○ | ○ | ○ |
4Kチューナー数 | 3 | 3 | 3 |
タイムシフト機能 | ー | ー | ー |
パナソニック LX950(2022年モデル)
パナソニックは、2022年モデルのLX950シリーズがおすすめです。
AI映像処理プロセッサは、オートAI画質 ヘキサクロマドライブ
エントリーモデルのLX800シリーズもAI映像処理プロセッサは同じ仕様でありながら、LX950シリーズよりも低価格で購入できます。
大きな違いは、VAパネルとISPパネル、120Pと60Pといった部分になってきますが、10年満足して使っていくと考えれば、画質・音響ともに高性能なLX950シリーズをおすすめします。
発売当初65型のLX950は、30万円を超える市場価格でしたが、現時点(2023年1月)は65型で20万円を切った価格帯で購入できます。
項目 | LX950シリーズ | LX900シリーズ | LX800シリーズ |
---|---|---|---|
モデル年式 | 2022 | 2022 | 2022 |
画面サイズ | 55,65,75 (ISP) | 43,49 (ISP) | 43,50 55,65,75 (VA) |
映像処理プロセッサ | オートAI画質 ヘキサクロマドライブ | オートAI画質 ヘキサクロマドライブ | オートAI画質 ヘキサクロマドライブ |
Mini LEDバックライト | ー | ー | ー |
量子ドット技術 | ー | ー | ー |
バックライトエリア制御 | ○ | ○ | ○ |
4K倍速パネル | ○ | ○ | ○ |
地デジ高画質 | ○ | ○ | ○ |
4Kチューナー数 | 2 | 2 | 2 |
タイムシフト機能 | ー | ー | ー |
東芝 Z875L(2022年モデル)
東芝の4K液晶モデルでは、レグザエンジンZRαを搭載したハイエンドモデルZ875Lシリーズ(Z870Lは55型)になります。
レグザエンジンZRα、Mini LEDバックライト、量子ドット技術とフラッグシップモデルに相応しい仕様の東芝らしいテレビです。
65型のZ875Lシリーズは、発売当初40万円を超えていましたが、現時点(2023年1月)は65型で25万円程度の価格帯で購入できます。
東芝とシャープの4K液晶テレビのシェアの高さは、高性能のテレビがそこそこの価格で販売されているところであり、フルスペックのZ875Lシリーズは、破格の価格帯で一押しの4K液晶テレビとなっています。
項目 | Z875Lシリーズ | Z740Lシリーズ | Z670Lシリーズ |
---|---|---|---|
モデル年式 | 2022 | 2021 | 2022 |
画面サイズ | 55,65,75 | 50,55,65 | 43,50 |
映像処理プロセッサ | ZRα | Cloud PRO | ZRⅡ |
Mini LEDバックライト | ○ | ー | ー |
量子ドット技術 | ○ | ー | ○ |
バックライトエリア制御 | ○ | ○ | ー |
4K倍速パネル | ○ | ○ | ○ |
地デジ高画質 | ○ | ○ | ○ |
4Kチューナー数 | 2 | 2 | 2 |
タイムシフト機能 | ○ | ○ | ー |
シャープ DP1(2021年モデル)
シャープの2022年4K液晶テレビは、下位グレードからMedalist S3が搭載されているので、狙い目としてはハイエンド機種になってきます。
2021年モデルはDP1がMedalist S2XとminiLED、量子ドット技術を搭載しました。
DP1は、65型で発売価格が40万円超えだったものが、現時点(2023年1月)は65型で25万円程度の価格帯で購入できます。55型になると18万円程度で購入できるコスパ良好になっています。
2022年モデルはEP1がMedalist S4XとminiLED、量子ドット技術を搭載しましたが、発売から時間が経っていないので、65型で発売価格が40万円超えが、現時点(2023年1月)で35万円程度で、2023年末が狙い目かもしれません。
miniLED、量子ドット技術にこだわらなければ、EU1がおすすめです。
Medalist S3が搭載され、直下LED分割駆動や低反射パネルなどの上級仕様になっています。
65型が18万円〜、55型が15万円〜とお買い得な価格帯になっています。(2023年1月)
項目 | DP1シリーズ | EP1シリーズ | EU1シリーズ |
---|---|---|---|
モデル年式 | 2021 | 2022 | 2022 |
画面サイズ | 55,65 | 50,55,60 65,70 | 55,65 |
映像処理プロセッサ | Medalist S2X | Medalist S4X | Medalist S3 |
Mini LEDバックライト | ○ | ○ | ー |
量子ドット技術 | ○ | ○ | ー |
バックライトエリア制御 | ○ | ○ | ○ |
4K倍速パネル | ○ | ○ | ○ |
地デジ高画質 | ○ | ○ | ○ |
4Kチューナー数 | 2 | 2 | 2 |
タイムシフト機能 | ー | ー | ー |
まとめ
4K液晶テレビは着々と新技術が投入され画質が向上しています。
新技術は目新しく、宣伝効果もあって、魅力的ですが、映像は映像処理プロセッサが制御している点を考えて、4K液晶テレビは高性能な映像処理プロセッサによる映像表現で選んではどうかと思い提案しました。
2021年、2022年モデルは、順次生産完了となり在庫が減っていくので、どのタイミングで購入すると最安値になるのかは運にも左右されますが、欲しい時がその時と思って、ある程度の値頃感があれば購入しても良いのではないでしょうか。
2023年はWBC、ラグビーW杯、2024年はオリンピックと4Kテレビで見たい大会が続きます。
満足いく4Kテレビが購入できるよう願っています。