MLB 26人/40人ロースターとDFAについて!仕組みは複雑だけど負傷者リスト(IL)の必要性を感じた

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MLB(メジャーリーグベースボール)は、レギュラーシーズンを162試合戦います。

連戦が多く、20試合を超える連戦も普通です。

試合が中止になれば、翌日にダブルヘッダーを行います。

過酷なシーズンを勝ち切りMLBの覇者となるための戦力はメジャー登録の40人の選手となります。

そして40人と限定されるメジャー枠の入れ替わりで発生するのがDFA(Designated For Assignment)です。

2023シーズンの日本関係メジャー登録選手

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ア・リーグ
東地区
トロント・ブルージェイズ菊池雄星
ア・リーグ
東地区
ボストン・レッドソックス吉田正尚
ア・リーグ
中地区
ミネソタ・ツインズ前田健太
ア・リーグ
西地区
ロサンゼルス・エンゼルス大谷翔平
ア・リーグ
西地区
オークランド・アスレチックス
→7/20ボルティモア・オリオールズ
藤浪晋太郎
ナ・リーグ
東地区
ニューヨーク・メッツ千賀滉大
ナ・リーグ
中地区
シカゴ・カブス鈴木誠也
ナ・リーグ
中地区
セントルイス・カージナルスラーズ・ヌートバー
ナ・リーグ
西地区
サンディエゴ・パドレスダルビッシュ有
※本記事の情報は2023年9月時点のものです。
※現時点の正確な情報は各放送配信およびサービスサイトで確認の上、ご利用ください。

MLBメジャー登録は40人で26人がベンチ入り

MLBは、40人ロースター枠に登録された選手がメジャー契約の選手です。

その中から26人が試合に出場できるベンチ入りメンバーとなり、アクティブロースターと呼ばれます。

40人ロースター枠および26人アクティブロースターの選手は固定ではありません。

アクティブロースターに入れないロースター枠の選手は、マイナーの試合に出場します。

よって、40人ロースター枠でメジャー契約することで、年俸は増えますが、マイナー選手であり、アクティブロースターに入ることを目指しています。

また、アクティブロースターは開幕後から8月末までは26人ですが、9月1日以降は28人に拡大されます。

※9月1日以降に拡大されることを『セプテンバーコールアップ』とも言います。

負傷者リストがロースターに与える影響

開幕時に登録した40人ロースター枠は、シーズンが進むと40人以上に増えていることがあります。

それは、主に負傷者リスト(IL:Injured List)に登録された選手が関係しています。

負傷者の種類には、「10日間負傷者リスト(IL-10)」、「15日間負傷者リスト(IL-15)」、「60日間負傷者リスト(IL-60)」などがあります。

負傷者リストに登録された場合、各期間の試合出場はできなくなります。

しかし、負傷者リストに登録することで、その期間の選手不足を補えるルールがあります。

60日間負傷者リスト(IL-60)に選手を登録した場合、40人ロースター枠が一杯でも追加でロースター枠に選手を登録できます。

そうすると60日間負傷者リスト(IL-60)に登録された選手に加えて、40人ロースター枠に登録された選手の分、人数が増えることになります。

もちろん、負傷者が回復し復帰する際には誰かが40人ロースターから外れることになります。

MLBのロースター枠の説明図

参考)エンゼルス ロースター

2023年9月6日(日本時間)のエンゼルスの40人ロースターは以下の通りです。

9月からアクティブロースターが28人に拡大

8月末でアクティブロースターの5人がウエーバー移籍
9月5日アンドリュー・ベラスケスがブレーブスへウエーバー移籍

9月5日デービス・ダニエルがIL-60から40人枠へ復帰

計47人登録、IL-60は11人、40人ロースターは実質36人となっています。

アクティブロースターは27人登録の状況です。

エンゼルス公式サイト:https://www.mlb.com/angels

アクティブロースター27人
IL-71人
IL-104人
マイナー4人
IL-6011人
47人

列「区分」で40人ロースターの状況を示しています。
空白:アクティブロースター
IL-7:7日間負傷者リスト[脳震盪など様子見]
IL-10:10日間負傷者リスト
IL-60:60日間負傷者リスト
マイナー:アクティブロースター外
M→40:9月マイナーからアクティブロースター入り
IL-60→M:IL-60から復帰
→40new:9月新規ロースター入り

区分No選手名守備打/投
31タイラー・アンダーソン投手左/左
IL-6040サム・バックマン投手右/右
51ハイメ・バリア投手右/右
47グリフィン・キャニング投手右/右
IL-60M58デービス・ダニエル投手右/右
48リード・デトマーズ投手左/左
53カルロス・エステベス投手右/右
M→4046ジミー・ハーゲット投手右/右
M→4066コルトン・イングラム投手左/左
IL-6044ベン・ジョイス投手右/右
28アーロン・ループ投手左/左
M→4068ホセ・マルテ投手右/右
マイナー58ビクター・メデロス投手右/右
IL-6065ホセ・キハダ投手左/左
M→4099ヘラルド・レイエス投手右/右
IL-6073クリス・ロドリゲス投手右/右
78ケニー・ローゼンバーグ投手左/左
43パトリック・サンドバル投手左/左
IL-763チェイス・シルセス投手右/右
59ホセ・ソリアーノ投手右/右
IL-6054ホセ・スアレス投手左/左
M→4060アンドリュー・ワンツ投手右/右
IL-6061オースティン・ウォーレン投手右/右
17大谷翔平二刀流左/右
14ローガン・オーハッピー捕手右/右
IL-6033マックス・スタッシ捕手右/右
IL-1021マット・サイス捕手左/右
35チャド・ウォーラック捕手右/右
75トレイ・キャベッジ内野手左/右
IL-1025C.J.クロン内野手右/右
23ブランドン・ドルーリー内野手右/右
5エドゥアルド・エスコバー内野手両/右
8マイク・ムスタカス内野手左/右
IL-109ザック・ネト内野手右/右
→40new19キレン・パリス内野手右/右
IL-606アンソニー・レンドン内野手右/右
2ルイス・レンヒフォ内野手両/右
18ノーラン・シャヌエル内野手左/右
マイナー9リバン・ソト内野手左/右
M→4038マイケル・ステファニック内野手右/右
IL-6010ジオ・ウルシェラ内野手右/右
4アンドリュー・ベラスケス内野手両/右
マイナー39ジョーディン・アダムス外野手右/右
IL-607ジョー・アデル外野手右/右
15ランドル・グリチャック外野手右/右
16ミッキー・モニアック外野手左/右
IL-1027マイク・トラウト外野手右/右
IL-603テイラー・ウォード外野手右/右

8月末以降に移籍した選手

8月末移籍24ルーカス・ジオリト投手右/右
8月末移籍52ドミニク・レオン投手右/右
8月末移籍41レイナルド・ロペス投手右/右
8月末移籍55マット・ムーア投手左/左
8月末移籍12ハンター・レンフロー外野手右/右
9/5移籍4アンドリュー・ベラスケス内野手両/右

40人ロースター枠のDFA

40人ロースター枠に追加で選手を登録する場合、前述の60日負傷者リスト入りの選手を除いて40人枠に空きが無い場合は、はみ出す選手がDFA(Designated For Assignment)となります。

DFAとは、40人ロースター枠から外す手続きのことを示しています。

DFAになった選手

選手がDFAとなった場合、7日間トレードまたはウェーバー公示(権利放棄選手)となるかが決まります。

トレードは、トレードデッドライン(トレード期限:2023年は現地8月1日18時[日本時間8月2日7時])以前であれば可能で、球団との契約を引き継ぐ形でトレードされます。

ウェーバー公示と呼ばれる権利放棄選手となるのが一般的です。

ウェーバー公示された選手の扱い

ウェーバー公示された選手は、10日間でその後の行方が決まります。

1)ウェーバー公示期間にその選手を獲得したい球団が現れ移籍する。(無条件譲渡)

2)ウェーバー公示期間経過後にマイナー契約を結ぶ。

3)ウェーバー公示期間後に自由契約となる。

4)選手が引退を表明する。

ちなみに、メジャー選手としてMSL10年を経過した選手は、トレードやマイナー契約を拒否できます。

その球団のメージャー契約がMSL5年を経過している選手は、マイナー契約を拒否できます。

更にマイナー契約した場合でも、これまでに球団と交わした契約年俸は保持されます。

ただし、複数年契約を結んでいるMSL5年未満の選手がマイナー契約を拒否して自由契約を選択した場合、以降の契約年俸支払いが無くなったり、ウェーバー公示後に自由契約となった選手を獲得した球団は、MLB最低保証年俸額を残り契約期間分に対して日割りで計算して支払うだけでよいルールになっています。

メジャー経過年数は、MSL(メジャーリーグサービスタイム)と言うルールで計算されます。

MLSでは、アクティブロースター登録1日がMLS=0.001で計算されます。

ただし、年間172日以上登録されればMLSが1年となります。(1シーズンで獲得できるMLSは最大で1年)

26人ロースターから外されていた期間の合計が20日未満だった場合、40人枠に172日以上登録されていればMLS1年で計算されます。

MLSの年数により選手は権利を獲得します。

MSL=3 : 年俸調停の権利獲得
MSL=5 : マイナー降格拒否権獲得
MSL=6 : FA権獲得
MSL=10 : トレード拒否権獲得

ウェーバー公示は、権利放棄選手と言われますが、40人ロースター枠の制限があることで、選手の流動性が高くなり、MLBでは行き先を探す選手が少なくありません。

ある程度の実績が残っていれば、各球団で故障選手が出た時に必要となる代替戦力に選ばれる可能性があります。

また、球団のマイナーに残った方が実績の評価が容易なため、ロースターで故障選手が出た際などに、再度メジャー昇格のチャンスを獲得できる可能性が高まります。

DFAを歓迎する選手は居ないかもしれませんが、選手の意思による選択を残している点が大切なポイントとなっています。

ロースター枠登録を制限するマイナーオプション

MLBでは、40人ロースター枠に登録しておくことで、選手の自由を奪う弊害が起きないように、マイナーオプションと呼ばれるロースター枠に在籍させられる制限が設けられています。

アクティブロースターに登録しないで40人ロースター枠の選手として登録できる期間は3シーズンまでとなっており、4シーズン目にはアクティブロースターに登録、またはDFAとする必要があります。

また、アクティブロースターから外せる回数もシーズン5回までとなっており、6回目はDFAとする必要があります。

メジャー契約の年俸

40人ロースター枠に入りメジャー契約することで、メジャー最低年俸を獲得できます。

2023年のメジャー最低年俸は72万ドルと言われています。

一方のマイナー契約選手の最低年俸は、3Aで3万5800ドルとなることが2023年3月に発表されています。

メジャー契約とマイナー契約では約20倍の格差があり、メジャー最高年俸になると4000万ドルを超えてきています。

マイナー契約選手は、40人ロースター枠に入ることで、生活が安定し、そこからステップアップを図り、生涯獲得年俸を高められるように努力しています。

まとめ

MLBは、40人ロースター枠に入り、メジャー契約することが第一関門です。

しかし、活躍を認知してもらえないとアクティブロースターとなってメジャーデビューできません。

更に、40人ロースター枠に不要となった場合は、DFAとなり、その後の行方を決める必要が出てきます。

MLBに存在する大きな夢を掴む選手の努力が実を結ぶことを願うばかりです。

また、この仕組みを考えると、大型契約を勝ち取った中堅選手が長期負傷者リスト(IL-60)に入ることで、メジャーへのチャンスを掴んでいる若者も居るのだと感じます。