高画質なテレビやプロジェクターを導入したら、音響を高品質化して映像の迫力を倍増したいところです。
ソニーの音響機器は独自技術で高品質な音響空間を作り出す魅力的な製品が多くあります。その中でサウンドバーは、占有スペースを最小限に抑えた中で、そのコンパクトな筐体からは想像できない音場を作り出してくれる音響機器であり、更に単独の音声再生用の音響機器としても利用でき、多面的に活用できることから人気出ています。
ラインナップが多彩なソニーのサウンドバーの仕様を比較し、使用方法や利用環境に合った選び方を紹介します。
ソニーのサウンドバー
ソニーのサウンドバーは、現行(2021年8月)正規販売サウンドバーが6モデル存在しています。
フラッグシップサウンドバー
最新のソニーのフラッグシップサウンドバーになります。
HT-A7000
HT-A7000の特長は、サブウーファーを内蔵した一体型筐体にフラッグシップにふさわしい性能を詰め込んだハイスペックサウンドバーであることです。
一体型筐体に7.1.2chのスピーカーを搭載していて、サイズはラインナップで最大幅1300mmになります。
4Kテレビの55インチの全幅よりも広い大型サウンドバーになってきます。
「Dolby Atmos(R)」や「DTS:X(R)」のフォーマットコンテンツの再現が可能な3D音響に対応したモデルです。更にハイレゾ対応でもあり、音声を再生する最高の性能を有したサウンドバーになります。
フロントスピーカー5基の構成
7.1.2chの構成としては、先頭の数字7が表す通り、7chのフロントスピーカー郡が搭載されています。
センタースピーカー45.5W×1基(フルレンジ)
メインスピーカー左45.5W×2基と左45.5W×2基(フルレンジ)
サイドスピーカー左45.5W×1基と左45.5W×1基 (トゥイーター)
で構成されています。
メインスピーカーが左右91Wづつ設置された形であり、センタースピーカーと共通ユニットになっており、音質の親和性も高くできています。
また、ビームトゥイーターと呼ばれるサイドスピーカーが目新しく、これまでは「S-Force PROフロントサラウンド(TM)」に代表した壁の反射を利用しなくても音の広がりを表現できる技術でのコンパクトスタイルを特徴としてきたソニーのサウンドバーでしたが、その技術に加えて、直接的な反射音も取り入れてリアルな音の広がりを武器にしてしまいました。
上向きイネーブルドスピーカーを搭載
7.1.2chの末尾2の数字は、上向きのイネーブルドスピーカーの搭載数を表していて、両サイドにフロントメイン同様の45Wフルレンジスピーカーを上向きに搭載していて、天井へ放出した音の反射を利用して上側を加えた立体音響を作り出します。
ウーファーもBAR内蔵
ウーファーが内蔵された点もBAR本体のみで最高のサウンドバーを作ると言うこだわりを感じる部分になっています。
センタースピーカーと左右メインスピーカーの間にウーファーを搭載していて、低音パンチの効いた音場を再現してくれます。
オプション追加スピーカー
それでは満足できず、より深い迫力のある低音をプラスしたいと思った場合は、ワイヤレス接続できるサブウーファーが2タイプ(200Wと300W)オプションで追加できるように設定されています。
更にリアル立体音場を再現できるリアサラウンドスピーカーもオプション設定されています。
自動音場最適化機能
これらのスピーカーでの再生を最適化するためには、部屋の反射音の特性を掴んで調整していく必要があります。
しかし、HT-A7000には自動音場最適化機能があり、内蔵マイクが天井や両壁までの距離を自動計測して、部屋の形に最適な音響調整を自動で実施してくれるので難しい設定なしに最適化が図れます。
ワイヤレスでもハイレゾ音質
LDAC対応機器を接続すれば、従来のBluetooth転送速度328kbpsの約3倍の990kbpsの情報伝達によって、外部機器からのデータ転送でもハイレゾ相当の音質を維持して再生できます。
その他、Apple Airplay 2への対応やChromecast built-in,Spotify Connectなどに対応しており、音楽ストリーミング再生も充実しています。
ハイレゾ音源なら高音質デジタルアンプ技術によって、ハイレゾ再生が可能で、圧縮音源であってもアップスケーリング「DSEE HX」機能が搭載されているのでハイレゾ相当の音質で再生してくれます。
ソニーのフラッグシップサウンドバーにふさわしい性能・機能を搭載したモデルです。
ワイヤレスサブウーファー別体サウンドバー
サウンドバー本体にウーファーを搭載せずに、別体としたワイヤレスサブウーファーを付属するモデルを3モデル( HT-Z9F , HT-G700 , HT-S350 )ラインナップしています。
HT-Z9F
HT-Z9Fは、「Dolby Atmos(R)」や「DTS:X(R)」のフォーマットコンテンツの再現が可能な3D音響に対応したモデルです。
更にハイレゾ再生にも対応しています。
HT-A7000 との違い
HT-A7000との違いは、サブウーファーが別体になっていることもありますが、サイドスピーカーのビームトゥイーターや上向きのイネーブルドスピーカーが搭載されていない所です。
HT-Z9Fは、ビームトゥイーターや上向きのイネーブルドスピーカーが搭載されていなくても、ソニー独自のデジタル音場処理技術「S-Force PROフロントサラウンド(TM)」により直接的な反射音を利用しなくても仮想的にサラウンド音場を再現できるようになっています。部屋の形に左右されない音響空間を作り出すソニーの音場処理は秀逸で、Vertical Surround Engineによって、あらゆるコンテンツで立体音響効果を発揮させることができるようにもなっています。
HT-A7000は HT-Z9Fから更に性能を向上させたモデルと言えます。
ハイレゾ音源に対応
ハイレゾ音源として、WAV・FLAC・ALAC(最大192kHz/24bit),DSD(2.8MHz、5.6MHz)などに対応しており、ロスレスオーディオの魅力を十分に楽しむことができる高音質デジタルアンプ技術が採用されています。
また、圧縮音源であってもアップスケーリング「DSEE HX」機能の搭載によりハイレゾ相当の高音質で再生が可能です。
ワイヤレスでハイレゾ音質を伝送できるLDAC対応
LDAC対応機器を接続すれば、 従来のBluetooth転送速度328kbpsの約3倍の990kbpsの情報伝達によって、外部機器からのデータ転送でもハイレゾ相当の音質を維持して再生できます。
その他、Chromecast built-in,Spotify Connectなどに対応しており、音楽ストリーミング再生機能も充実しています。
HT-G700
HT-G700は、 HT-Z9Fと比べるとハイレゾ音源への対応を省いたモデルとなっています。
ハイレゾ再生までは考えていない方は、このモデルがコスパの良いモデルで有力候補になってくるように感じます。
ハイレゾを省いたと言っても、ソニーの独自技術により音質劣化を最小限に抑え、原音に忠実な再生を実現するデジタルアンプ「S-Master」を搭載した高性能機種であることには違いなく、「Dolby Atmos(R)」や「DTS:X(R)」のフォーマットコンテンツを3D音響で再生できるモデルです。
「Vertical Surround Engine」「S-Force PROフロントサラウンド(TM)」と言ったデジタル音場処理技術によって、臨場感の高い音場再現が可能になっています。
3.1chのセンタースピーカーを搭載したモデルとしては、最下グレードとなり、 HT-G700 以降のグレードでは、2.1chとなってきます。
センタースピーカーはセリフの再生を主に担う役割のスピーカーなので、セリフの聞き取り易さの面では、 センタースピーカー のある3.1chの方が聞き取り易さを調整することが簡単です。
「ボイスモード」を利用すれば、人の声やセリフ(センターチャンネル成分)だけを3段階で調節ができ、セリフをクリアに再生してくれます。
HT-S350
HT-S350は、2.1chのサブウーファー別体モデルになります。
入手しやすい価格帯で低音を補強してくれるサブウーファーが付いたモデルとして、他社ラインナップとの競合の激しいモデルになってきます。
3D音場の再現はできないものの、2Dサラウンド再生では、ソニーの技術を惜しみなく搭載しています。フロントスピーカーだけで音の広がりを表現できる「S-Force PROフロントサラウンド」が搭載されています。
アンプについても、小型で電力効率に優れたソニー独自のデジタルアンプ「S-Master」を搭載しており、音質劣化を最小限に抑えてくれます。
サブウーファー内蔵サウンドバー
サウンドバーは、コンパクトな筐体で良い音を出してくれるのが魅力なので、サウンドバー1本でオールインワンであることが基本だと思います。
HT-X8500
HT-X8500 は、サブウーファー内蔵の2.1chモデルで、左右のメインスピーカーと中央部にサブウーファー2基を搭載したシンプルな設計のモデルです。
コンパクトボディーで高性能
BAR幅890mmをラインナップでもコンパクトな筐体ながら、ソニー独自の「Vertical Surround Engine」や「S-Force PROフロントサラウンド(TM)」により、「ドルビーアトモス(R)」「DTS:X(R)」に対応し、立体音響を作り出すことができます。
サウンドオプティマイザー機能
サウンドオプティマイザー機能は、小音量でも高音質を確保して再生する機能で、マンションなど近隣への音の心配がある時間帯などに利用することで、音量を抑えても高音域と低音域は強調してくれ、豊かな音場効果を発揮できるものです。
HT-S200F
HT-S200F は、ラインナップで最安価なエントリーモデルです。
サブウーファー内蔵の2.1chで、メインスピーカーの出力を25W×2、サブウーファーを30Wに抑えています。
アンプおよびスピーカーのスペックを下げているものの、「S-Master(TM)」や「S-Force PROフロントサラウンド(TM)」などの部分は技術投入されているので、スタンダードモデルのテレビのスピーカーとは比較できない程高性能な音声再生が可能です。
サウンドバーの選び方
サウンドバーの使用方法や利用環境から考える選ぶ方を紹介していきます。
映画が好きな方向けサウンドバー
最新映画で採用されている「ドルビーアトモス」や「DTS:X」などの3D音響規格コンテンツに対応したサウンドバーを選定すれば、映像と合わさった臨場感の高い音響再生が可能になります。
映画が好きで臨場感の高い音場を作り出したい場合は
HT-A7000
HT-Z9F
HT-G700
HT-X8500
が 「ドルビーアトモス」や「DTS:X」 に対応している選択候補になります。
低音が好きでたまらない方向け
強力な低音を求める場合は、別体サブウファーのモデルを選択するのがベストです。
ただし、サブウーファーの設置場所が必要になってくるのがネックになってきます。
低音は指向性が少ないだけで、一定の指向性はあるので、置き場は選ぶ必要があります。
低音専用のサブウーファーがあると地響きを立てて重低音がうなり、音場に凄みが出ますが、重低音までは要らない方や苦手な方は内蔵サブウーファーのサウンドバーで気持ちの良い低音を感じることができるはずです。
サブウーファー別体
・HT-Z9F
・HT-G700
・HT-S350
サブウーファー内蔵
・HT-A7000(ワイヤレスサブウーファーのオプション設定あり)
・HT-X8500
・HT-S200F
リアルな立体音響を求める方
ソニーのサウンドバーには、バーチャルサラウンド技術が搭載されているのでスピーカー数が少なくても高品質な音場再現は可能です。
バーチャルでつくる音響でも、十分な広がりを持った音場を体感できますが、直接音を利用した音場の方が臨場感は高くなってきます。
その意味でHT-A7000は別格と言って良く、フロントメイン4基,センター1基,サイド2基,イネーブルド2基,サブウーファー2基の11スピーカーがバー本体に詰め込まれていて、特にサイドの ビームトゥイーターと上向きのイネーブルドスピーカーによる直接音での音の広がりを演出することでリアルな立体音場を作り出します。
ハイレゾで音楽を楽しみたい
ハイレゾ再生は、HT-A7000とHT-Z9Fが対応しています。
ハイレゾは、サンプリングレート44.1kHz,量子化ビット数16ビット(CD音源)を超えた領域の音楽データを基準としています。
音楽CD:44.1kHz × 16bit × 2ch(ステレオ) = 1,411.2kbps
これを超えるのがハイレゾです。
ソニーの高音質デジタルアンプ技術「S-Master」をハイレゾに対応させた「S-Master HX」により、ノイズ除去性能を改善し、小音量でも高音質で迫力ある低音、クリアーな空間を再現してくれます。
また、圧縮音源もハイレゾ相当の高解像度音源にアップスケーリングできる「DSEE HX」により高解像度音源(96kHz/24bit)として再生してくれます。
ハイレゾ音質を伝送できるLDAC対応
HT-A7000とHT-Z9FにLDAC対応機器を接続すれば、従来のBluetooth転送速度328kbpsの約3倍の990kbpsの情報伝達によって、外部機器からのデータ転送でもハイレゾ相当の音質を維持して再生できます。
テレビでの音声再生サウンドバーのみでなく、ハイレゾ音源の音楽を劣化なく再生したい方はこの2機種が候補になります。
使う場所で変わる選択肢
ソニーのサウンドバーは、利用環境に応じて選択出来るようにラインナップされています。
考え方は人それぞれになってきますが、参考までですが個人的な意見として、利用環境別の選択候補順位を付けてみました。
利用環境にマッチしたサウンドバーで理想の音響空間を作っていきたいところです。
まとめ
ソニーのサウンドバーを比較して、利用環境による選択候補を紹介しました。
サウンドバーは、どこにでも置ける設置性が魅力で、テレビ音声,PC音声,音楽転送再生,ストリーミング再生など利用範囲も広く、使いまわし出来る機器です。
ラインナップ豊富なソニーのサウンドバーから選択候補を絞り、他メーカーの同様機器と比較検討するもの良い方法だと思います。
自分の使い方や環境にあった1台を見つけてください。
また、需要は多いので譲渡することも可能でしょうし、電源さえ確保すればどこでも利用できるので、買い替えや買い増しなども比較的やり易いでしょう。