MLBの個人成績を見ると、ものすごく打率が良いのに順位に入っていない選手がいます。
防御率でも同様です。
これは規定打席数や規定投球回数に到達していないため、順位に入っていないと考えられます。
本記事では、規定打席数と規定投球回数について簡単に紹介します。
※現時点の正確な情報は各放送配信およびサービスサイトで確認の上、ご利用ください。
規定打席数って何?
規定打席数は、打者成績の中で『率』を評価するために必要になります。
少ない打席数での打率は、数字が良くても、実力として見て良いのか評価できないため、一定以上の打席数での打率などを評価することになっています。
規定打席数は、MLBおよびNPB共に共通で、所属チームの試合数×3.1 で計算します。
2023MLBのレギュラーシーズンは、各チームが162試合を戦う予定のため、シーズン終了時には162×3.1=502.2 となります。
四捨五入で502打席以上の打者の打率などを『率』評価して順位を決めています。
シーズン途中の場合、所属チームの消化試合数×3.1 をクリアした選手が成績表に記載されるようになります。
規定打席数=試合数×3.1
2023シーズンの日本関連選手の打撃成績(規定打席過不足)は関連記事で確認してください。
規定投球回数って何?
規定投球回数は、投手成績の中で『率』を評価するために必要になります。
少ない投球回数数での防御率は、数字が良くても、実力として見て良いのか評価できないため、一定以上の投球回数での防御率などを評価することになっています。
規定投球回数は、MLBおよびNPB共に共通で、所属チームの試合数で計算します。
2023MLBのレギュラーシーズンは、各チームが162試合を戦う予定のため、シーズン終了時には162投球回となります。
162投球回以上を投げ抜いた投手の防御率などを『率』評価して順位を決めています。
シーズン途中の場合、所属チームの消化済み試合数以上の投球回をクリアしている選手が成績表に記載されるようになります。
規定投球回数=試合数
2023シーズンの日本関連選手の登板成績(規定投球回過不足)は関連記事で確認してください。
隠れ首位打者とは
シーズン終盤に入ると先述した規定打席数や規定投球回数に到達して、首位打者争いが話題になると、隠れ首位打者の話が持ち上がることがあります。
隠れ首位打者とは、まだ規定打席数に達していない選手の中で、最近の出場機会を見て、最終的に規定打席数に到達すると予測される選手の中で成績の良い選手がいた場合に使われる言葉になります。
例えば、シーズン120試合を消化している場合、120×3.1=372打席がそこまでの規定打席数となります。
シーズン終了まで42試合が残っている状態なので、フル出場して1試合あたり4打席の出場があれば、168打席が増えることになります。
そこで規定打席数に達している選手で首位打者に立っている選手の成績が
480打席400打数140安打=3割5分0厘
だった場合に、下記のような規定打席数に達しない選手がいたとします。
340打席300打数110安打=3割6分7厘
この選手は、現状340打席で規定打席数372打席には到達していないため、打率順位を評価されていません。
しかし、シーズン終了までフル出場すると168打席程度が積み上がる可能性があり、シーズン終了時に必要な502打席を上回る508打席に達することになります。
このような場合に、順位として評価されていないが、最終的に首位打者を獲得する可能性があるため、隠れ首位打者と表現されます。
【実例】
2023年8月末(日本時間)時点の首位打者は、レイズのヤンディ・ディアス選手(32歳)で、3割2分7厘と好調を維持しています。
しかし、規定打席に達していない隠れ首位打者がいます。
レンジャーズのコリー・シーガー(29歳)は、8月末時点で411打席361打数125安打で3割4分6厘と高打率となっています。
チームは133試合を消化済み、規定打席数は412打席です。
次の試合で4打席立てば、規定に到達すると考えられます。
シーズン規定打席502打席までを見ても残り91打席と少なく、レンジャーズの残り29試合でコンスタントに出場できれば問題なく規定をクリアできる状況です。
2023MLB個人成績
2023年のMLBにおける投打の個人成績は以下のようになっています。
打者成績
日本人関係選手の規定打席現況
2023シーズン成績:2023年10月2日(日本時間)までの成績は次の通り
選手名 | チーム (リーグ) | 出場 試合 | 打 席 | 打 数 | 安 打 | 本 塁 打 | 打 点 | 三 振 | 四 球 | 死 球 | 盗 塁 | 出 塁 率 | 長 打 率 | O P S | 打 率 | 消化済 試合数 | 規定 打席 過不足 |
吉田正尚 | Rソックス(ア) | 140 | 580 | 537 | 155 | 15 | 72 | 81 | 34 | 7 | 8 | .338 | .445 | .783 | .289 | 162 | 78 |
大谷翔平 | エンゼルス(ア) | 135 | 599 | 497 | 151 | 44 | 95 | 143 | 91 | 3 | 20 | .412 | .654 | 1.066 | .304 | 162 | 97 |
鈴木誠也 | カブス(ナ) | 138 | 583 | 515 | 147 | 20 | 74 | 130 | 59 | 2 | 6 | .357 | .485 | .842 | .285 | 162 | 81 |
ラーズ・ ヌートバー | カージナルス(ナ) | 117 | 503 | 426 | 111 | 14 | 46 | 99 | 72 | 1 | 11 | .367 | .418 | .784 | .261 | 162 | 1 |
※シーズン規定打席は、162試合✖️3.1=502打席
2023MLB個人打撃成績(TOP3+日本関係選手)
各リーグの打撃3タイトルのTOP3および日本関係選手成績を記します。
投手成績
日本人関係選手の規定投球回数現況
2023年10月2日までの成績は次の通りです。
選手名 | 成績 | 防 御 率 | 投 球 回 | 投 球 数 | 失 点 | 自 責 点 | 奪 三 振 | 与 四 球 | 与 死 球 | 消化済 試合数 | 規定 投球回 過不足 |
菊池雄星 | 32試合11勝6敗 | 3.86 | 167.2 | 2817 | 78 | 72 | 181 | 48 | 4 | 162 | 5.2 |
前田健太 | 21試合6勝8敗 | 4.23 | 103.4 | 1700 | 50 | 49 | 117 | 28 | 3 | 162 | -57.2 |
大谷翔平 | 23試合10勝5敗 | 3.14 | 132.0 | 2094 | 50 | 46 | 167 | 55 | 11 | 162 | -30 |
ダルビッシュ有 | 24試合8勝10敗 | 4.56 | 136.1 | 2218 | 71 | 69 | 141 | 43 | 8 | 162 | -25.2 |
藤浪晋太郎 | 64試合7勝8敗5H2S | 7.18 | 79 | 1404 | 65 | 63 | 83 | 45 | 7 | 162 | -83 |
千賀滉大 | 29試合12勝7敗 | 2.98 | 166.1 | 2795 | 60 | 55 | 202 | 77 | 5 | 161 | 5.1 |
※シーズン規定投球回数は、162試合✖️1=162回
MLBの投手部門個人成績
各リーグの投手3タイトルのTOP3および日本関係選手の成績を記します。
ア・リーグ投手成績
ナ・リーグ投手成績
まとめ
規定打席数と規定投球回数について簡単に説明しました。
規定打席数に関しては、シーズン通し1試合3.1打席以上に出場しなければなりません。
大雑把に考えると打者の場合、162試合の内最低でも130試合以上でのフル出場が無いと達成できない数字に見えます。
また、投手の場合、中5日で登板したとすると、1試合6回以上投球しないと達成できません。
投打ともに、所属チームで活躍し、信頼される選手でないと規定打席数や規定投球回数をクリアすることはできないMLB選手にとって重要な数だと言えます。
そんな数字を打者と投手の両方でクリアする大谷選手は、別格であることは言うまでもありません。