CO2は、無色・無臭で身近にあっても存在に気が付かないガスです。
屋外の空気には、CO2(二酸化炭素=CO2)が約400ppm(0.04%)含まれ、呼吸をして吐きだす息のCO2濃度は約38400ppm(3.84%)だそうです。
そんなCO2ガスの濃度を見えるようにできるのが、SwitchBotCO2センサー(温湿度計)です。
本記事では、SwitchBot社より提供いただいた最新 SwitchBot CO2センサー(温湿度計)を使ってみたレビューを紹介します。
SwitchBot CO2センサー(温湿度計)の概要
SwitchBot CO2センサー(温湿度計)の最大の特徴は、 CO2センサー を搭載している点で、その場の CO2濃度を測定して表示します。また、温湿度(本体測定温湿度または連携機器の温湿度)、日付、時刻、天気予報(SwitchBotハブとBluetooth接続が必要)を表示する機能があります。
NDIR方式のCO2センサーを採用
CO2を表示できる機器に使用されるセンサーは、厚生労働省が推奨するNDIR方式のCO2センサーが主流です。
SwitchBot CO2センサー(温湿度計)は、NDIR方式のCO2センサーを採用しています。NDIR方式のCO2センサーは、二酸化炭素が赤外線を吸収する特性を利用して、吸収された赤外線の量から二酸化炭素濃度を計測する仕組みで、自宅やオフィス店舗などの換気指標として活用する場合は、NDIR方式のセンサーのものが最適な選択と言えます。
適切なCO2濃度とは
CO2濃度は、コロナ禍に感染症対策の指標として用いられました。
人の呼吸によってCO2が排出され、室内の人数に応じてCO2の排出量が増えます。厚生労働省では、新型コロナウイルス感染症対策の指標として、CO2濃度が1,000ppmを超えないようにするように換気することを推奨していました。
感染症対策と切り離して考えても、CO2濃度に対する人体への影響が懸念されます。
大雑把に言えば
- 屋外:400ppm前後
- 良好:1000ppm以内
- 要換気:1000ppm超
程度で理解しておけば良いと思います。
ただし、人体への影響が1000ppm超ですぐに出ると言うわけでもないようで、もう少し緩めに考えても良いのかもしれません。
ネット上には、1000ppmが管理基準であるものの、人体への影響については様々な基準が書かれています。参考程度になりますが、DEKIRUCHAで情報整理した内容として、次の基準を示しておきます。
1000ppmまで:換気が十分実施されている屋内の通常数値
1000ppm超:人によって不快感や眠気を感じる
3000ppm超:大部分の人が不快感、頭痛、めまいや吐き気など発症
6000ppm超:過呼吸になる可能性あり
10000ppm超:重症に至る可能性あり
測定精度と測定頻度
項目 | CO2 | 温度 | 湿度 |
---|---|---|---|
測定精度 | ±50ppm | ±0.2℃ | ±2%RH |
SwitchBot CO2センサー(温湿度計)は、CO2センサーと温湿度センサーを搭載しています。
CO2濃度値精度は±50ppm、温度制度は±0.2℃、湿度は±2%RHです。
CO2の表示更新頻度は、電源接続の場合と電池駆動の場合で違ってきます。
電源接続:1秒〜60秒/回または1分〜30分/回に設定可能
電池駆動:30分/回固定
電源接続の場合、最短で1秒間隔で更新できるため、ほとんどリアルなCO2濃度を確認できます。
電池駆動の場合、更新間隔が30分なので、表示されている数値が何分前のデータなのかが表示されます。
手動で更新することも可能で、本体上部のボタンを押すことで更新を促せます。電池駆動の時に30分待たなくてもデータを更新できます。
また、電源コンセントのないところで短時間で更新したい場合、モバイルバッテリーを電源に利用する方法もあります。
CO2濃度の表示
CO2濃度は、SwitchBot CO2センサー(温湿度計)の画面中央に大きく表示されるため、認識しやすいと感じます。更にCO2濃度により色分けして表示することが可能で、緑:『良好』、黄:『注意』、赤『要換気』の範囲を任意に設定できます。(SwitchBotアプリを使用)
SwitchBot CO2センサー(温湿度計)使用レビュー
筆者の自宅は、築50年の木造住宅で、気密性が低く、外気の侵入も多いので、意図なく換気されている筈です。ところが、そんな古い住宅は、換気経路が設計されていないので、理想的な換気にはならないようです。
一方、気密性が高い住宅は、換気経路を設計した上で、24時間換気しているため、古い空気が溜まりにくくなっています。
「百聞は一見にしかず」と言うことで、SwitchBot CO2センサー(温湿度計)を設置して、普段の生活の中におけるCO2濃度を確認しました。
結果は以下の状況でした。
場所や状況 | CO2濃度 |
---|---|
誰も居ない部屋 (自然換気) | 400〜500ppm |
生活の中心リビングダイニング (エアコンで空調) | 500〜900ppm |
生活の中心リビングダイニング (カセットガスコンロ使用) | 500〜1600ppm |
リビングダイニングから脱衣所を暖房 (石油ファンヒーター使用) | 500〜2600ppm |
自動車の中で仮眠 (エンジン停止・窓全閉) | 500〜2900ppm |
誰も居ない部屋(自然換気)
誰も居ない部屋に SwitchBot CO2センサー(温湿度計) を設置しました。
屋外では無いものの、それに匹敵するCO2濃度である筈です。
想定の通り、窓の開閉に関わらず、CO2濃度は400ppm程度で安定しています。
晴れた日に窓を開けるなど、人が部屋に入るとCO2濃度が500ppm程度まで上昇するのが最大濃度になります。
当然ですが、問題はありません。
生活の中心リビングダイニング(エアコンで空調)
筆者の生活の中心となる約16畳のリビングダイニングで確認しました。
食事時に最大で5名程度が集まります。
CO2濃度は最大936ppmでした。
エアコンで空調管理し、IHクッキングヒーターを利用しているので、通常は酸素を消費するような火器がありません。
オーブントースターは毎朝使用していますが影響がないようです。
生活の中心リビングダイニング(カセットガスコンロ使用)
冬場は、カセットガスコンロの出番が多くなります。
食卓でカセットガスコンロを点火した結果、点火から15分後でCO2濃度が1500ppmを超えました。
その後、点火したまま、天井換気扇を運転すると約9分後に1000ppmまで下がりました。
今回は、実験としてコンロをフル燃焼させましたが、実使用では弱火で使うことが多いかもしれません。よって、今回は実際よりも早くCO2濃度が上がっていると思います。
調理にIHではなく、ガスコンロを使用している家庭も多いと思います。換気して利用しないと今回のようにCO2濃度が上昇すると考えられます。
リビングダイニングから脱衣所を暖房(石油ファンヒーター使用)
リビングダイニングは、エアコンで空調管理しているので、通常は問題ないのですが、冬場は隣接する脱衣所が寒いので、石油ファンヒーターで補助的に暖房します。
脱衣所に向けて、石油ファンヒーターを燃焼させているのですが、リビングダイニングの影響を確認しました。
石油ファンヒーターを点火してからCO2濃度が上昇し始め、約1時間経過時には2500ppmを超える濃度になりました。古い石油ファンヒーターで、燃焼の匂いも感じるものなので、この程度のCO2濃度になっていても不思議ではありません。
そこから天井換気扇を運転して、換気すると約25分でCO2濃度は1000ppm未満に下がりました。
これまではCO2濃度が見えなかったので、良い空気ではないと思いつつ我慢していたのですが、測定してみると2500ppm超のCO2濃度になっていました。
SwitchBot CO2センサー(温湿度計) は、アラーム(本体数値の点滅やビープ音、スマホへのアラート通知)を発生させる設定が可能なので、CO2濃度が上昇した時に分かるようにしておけば、換気タイミングが分かりやすくなります。
更に、SwitchBot ボットなどと連携させれば、換気扇のスイッチの形状次第では、CO2濃度に連動して換気オン/オフを自動化することも可能です。
自動車の中で仮眠(エンジン停止・窓全閉)
自動車の中で仮眠すると、CO2濃度がどうなるのか実験してみました。
エンジンを停止し、窓は全閉にしました。
30分経過後に1200ppm超まで上昇、その後は寝てしまったのですが、2時間のアラームで起きた時にはCO2濃度が2900ppm超まで上昇していました。
エンジン停止・窓全閉で寝るのは、あまり良くないようですね。
こんなことがSwitchBot CO2センサー(温湿度計)で確認できました。
SwitchBot CO2センサー(温湿度計)は、CO2、温度、湿度を警告するアラート(点滅のみとビープ音併用)が設定できます。車中泊する場合にも役立つかもしれません。
CO2センサーどう使う?
SwitchBot CO2センサー(温湿度計)を使い、生活の中でCO2濃度の変化を確認してみた結果、火器を使う空間や換気の無い空間は、CO2濃度が高くなる可能性があることが分かりました。
CO2濃度の変化がここまで急なものだと知らなかったので、換気が大切だと知りながら、気分だけで適当に換気していたことを反省しています。
CO2濃度が見えるようになる効果は、換気のタイミングを明確にできることなのですが、CO2濃度が高くなった場合でも、換気によりCO2濃度が低下していく様子が確認できる点も、安心感を与えてくれる効果があると感じました。
CO2センサーが役立つことが理解できたので、今後どのように使っていくかを考えてみました。
リビングやダイニングに必須
人の集うリビングや火器を使うダイニングは、CO2センサーが必須です。
SwitchBot CO2センサー(温湿度計)は、CO2、温度、湿度、日付、時刻、天気予報と多岐の情報が表示されるので、設置してみると、そこにあって当然のような存在感があります。
他のデバイスとの連動
SwitchBot CO2センサー(温湿度計)で測定するCO2、温度、湿度をトリガーに他のデバイスを連動させることができます。
CO2濃度が上昇したら、換気扇を運転し、下降したら停止するような連動も可能です。
サーキュレーターを連動させて、空気を移動させるのも良いと思います。
過去のデータを確認
SwitchBot CO2センサー(温湿度計)は、CO2、温度、湿度などの測定値を記録しています。
設置しておくだけでデータを記録してくれるので、現状把握が可能になります。
心配な場所のCO2や温度、湿度がどうなっているのか明確にできます。
アウトドアでも利用可能
今回、自動車内で仮眠をとった時にCO2が2900ppmまで上昇していて、起きて驚きました。
アラート設定しておけば良かったと反省しました。
このようなシーンは、他にもあるのではと思います。
例えば、キャンプなどでは、テント内でのストーブ利用も流行しました。そこまでしなくても、ガスコンロやガスランタンの利用も酸素を消費し、CO2を上昇させます。
SwitchBot CO2センサー(温湿度計)を持ち運んで使う選択もありだと感じました。
まとめ
SwitchBot CO2センサー(温湿度計)を生活の中で利用したら、思っていた以上にCO2濃度が変化することに気が付きました。
これまで換気が大切だと分かっていながら、適切なタイミングで換気していなかったことが明確になりました。
SwitchBot CO2センサー(温湿度計)を設置するだけで、その場にいる誰もが換気のタイミングを知ることができるようになります。
リビング、キッチン、アウトドアとSwitchBot CO2センサー(温湿度計)が活躍するシーンは多彩です。
CO2を見える化する効果を実感してみては如何でしょうか。