家の窓は熱の出入りが一番大きい場所とされ、特に寒さの原因は窓と言われます。
窓を無くせば良いんじゃない?とも思いますが、換気もしたいし、朝になると明るくなることで生活のリズムもできて気分転換に必要だと思います。
そんな窓の断熱対策として、既存の窓の内側に簡単に追加設置できる内窓が市販されています。
窓枠が熱を通し難いプラスチックでできていて、冷気も熱気も騒音も侵入を低減してくれます。
今回は、YKKapのプラマードUを購入し、寝室に内窓を取り付けました。
施工した窓は西向きで、冬は窓際から冷気が降り、夏は暑い西日が差し込みます。
内窓を取り付けることで期待する効果としては、省エネよりも、冬場に寝ている時に窓から降り注いでくる冷気を減らしたいと言う体感的な部分になります。
これまでプラ窓やプチプチやプラダンも試してみましたが、効果は今ひとつでしたが、2重ガラスの内窓の取り付けで確実な断熱を実感しました。
この記事では、YKKapのプラマードUをDIYで取り付けした選定方法および取り付け概況、そして断熱効果について紹介します。
※YKKapプラマードUのメーカーカタログはこちらになります。
YKKap プラマードUの取り付けスペース
YKKap プラマードUの特徴は、既存窓の内側に、簡単にもう一枚窓を取り付けて2重にできるところです。
窓枠は熱を通しにくいプラスチックでできています。
窓ガラスには、単板(1枚)ガラス,複層(基本2枚)ガラス,Low-E複層ガラスのグレードがあります。
プラスチックの枠は軽量ですが、ガラス自体は重いので、内窓を取り付ける家側の窓部の木枠には強度が必要です。
家側の強度は自分で判断するしかないと思いますが、元々外側の窓が付いている部材なので強度不足は無いはずです。
そしてYKKap プラマードUを取り付けるには、窓枠を取り付けるためのスペースが必要になります。
今回は2枚の引き違い窓タイプのプラマードUを取り付けます。
カタログではYKKap プラマードUの窓枠を取り付けるために必要な寸法は70mm以上です。
参考:LIXIL インプラスも70mm以上必要です。
この70mmのスペースは、プラマードUの枠の奥行きになるので、スペースが不足すると枠が家の内側にはみ出すことになります。
枠の取り付けが弱くなるので、重いガラス窓を支える強度が足りなくなってしまいます。
取り付けスペースが不足する場合は、内側に「ふかし枠」(木材)と言う幅を増やす木材を追加して対応できます。
今回の窓は写真のように100mm近くのスペースがあったため問題なく設置できています。
YKKap プラマードUの型式選定
YKKap プラマードUを購入するには、いくつかの型式を選定する必要があります。
枠の色:木目ナチュラル,ホワイト,ブラウン,オーク,木目クリア,グレイなど
窓枚数:2枚,3枚,4枚,固定,内開き,浴室用など
ガラス種類:単板,複層,Low-E複層ガラス
ガラスの型式:厚み3〜6mm,透明,和紙調,格子など
窓縁のサイズ:幅×高さ(最小部,mm単位)
オプション:鍵の位置、中桟の要否,ふかし枠要否(取り付け部スペースが不足している場合)など
今回は、「木目ナチュラル,2枚建て引き違い,Low-E複層ガラス,透明3+A12+3mm(ガラス厚み3mmで隙間が12mm),幅1709mm,高さ909mm,戸先鍵,中桟不要,ふかし不要」として手配しました。
窓ガラス選定について
今回、一番悩んだのが窓ガラスのグレード選定です。
性能の良いものは価格が跳ね上がるので、悩むのは仕方のないところです。
夏は西日が強烈に入り、冬は窓ガラスが冷たくなり空気を冷やし冷気が降り注いでくる西向きの窓です。
最初は、外側に既存の窓が1枚あるのだから、内側に付ける窓はグレードが低くてもいいのでは?と考えました。
メーカーカタログを見ると既存窓に内窓を追加した場合の性能が示されていました。
製品名 | 熱貫流率 (W/m2・K) | 日射熱取得率 |
---|---|---|
既存窓 | 6.51 | 70% |
以下、追加する内窓 | ||
単板ガラス | 3.23 | 58% |
複層ガラス | 2.26 | 53% |
Low-E複層ガラス 断熱タイプ | 1.71 | ニュートラル:43% ブルー:27% ブロンズ:27% |
Low-E複層ガラス 遮熱タイプ | 1.71 | ブルー:27% |
熱貫流率(W/m2・K)とは、内外の温度差1度の時に、1時間に何Wの熱が移動するかを表す数値
日射熱取得率とは、太陽の日射熱が窓を通して入り込む割合
熱貫流率(W/m2・K)の違いが気になるところで、Low-E複層ガラスと単板ガラスの性能差が大きなものに感じてしまいます。
今回は体感的な寒さを軽減することが改善したいポイントだったので、数値を見た以上、Low-E複層ガラスにしないと後悔するのは目に見えています。
Low-E複層ガラスとは、Low Emissivity(ロー・エミシビティー)の略で、低放射率にできる複層になったガラスを意味します。
複層ガラスとの違いは、ガラスへの金属膜のコーティング有無で、そのコーティングによってLow-E複層ガラスは低放射率になっています。
金属膜コーティングは、2枚のガラスの間の面にするのですが、熱を反射する方向が決まっていて、どちらか1方のガラスだけに金属膜コーティングが施してあります。
その金属膜がコーティングされているガラスが室内側の物は外からの熱を反射し、室外側にコーティングしてあるものは室内からの熱を反射します。
室外からの熱を反射する性能を遮熱
室内からの熱を反射する性能を断熱
と表現し、Low-E複層ガラスには「遮熱タイプ」と「断熱タイプ」があります。
熱貫流率は、遮熱・断熱共に同じで、使い分けは、公式サイト等で説明されている通りです。
タイプ | 東窓 | 西窓 | 南窓 | 北窓 |
---|---|---|---|---|
遮熱 | 適 | 最適 | 適 | 適 |
断熱 | 最適 | 適 | 最適 | 最適 |
YKKap公式サイトで遮熱と断熱の違いを紹介した動画をYouTubeに公開していたので添付します。
YKKap APW330は、新築家屋などに使用される高性能樹脂窓の総称で外窓に使用するサッシです。
熱貫流率(W/m2・K)が1.31と低い高性能なサッシで、多くの新築家屋で採用されています。
特徴はLow-E複層ガラスと2重ガラスの内側に不活性ガス(アルゴンガス)が封入されている点です。
プラマードUは後付けの内窓なので、違う商品ではありますが、Low-E複層ガラスの説明としては参考になります。
本格的にリフォームするならAPW330を選定したいところですが、今回は簡単DIYなので、ちょっと落ちますがプラマードUを使っています。
鍵位置の選定
今回は、戸先鍵を選定しています。
鍵の位置は、通常は窓と窓が交差する中央に付いています。
今回は窓の両端に設置する戸先鍵をオプションで選択しました。
+1500円かかるオプションですが、中央の鍵を開け閉めしなくても、窓を閉めれば自動的にロックされます。
外窓には通常の中央位置に鍵が付いているので、内窓は鍵が無くても良いくらいなのですが、どうせなら2回も鍵を開けることなく2枚の窓を開け閉めできればと思い、戸先鍵を選んでいます。
YKKap プラマードUの設置(DIY)
YKKap プラマードUの取り付けは、思っていたよりも簡単でした。
必要な工具は、電動ドライバーです。
手回しのドライバーでもネジ釘の長さが短いのでなんとかなるかもしれません。
メジャーもあった方が良いと思います。
取り付け手順は、
1.左右の横枠を取り付ける
2.下枠を取り付ける
3.上枠を取り付ける
4.障子(ガラス窓)を枠に入れる
5.障子の鍵金具,障子の外れ防止を取り付ける
となります。
手順1)左右の横枠を取り付ける
最初に取り付けるのは左右の枠です。
今回は窓縁の室内側に合わせて左右の枠を固定しました。
内窓(プラマードU)の窓枠取り付け時の考察
初めての取り付けだったので、上記の通り窓縁の室内側に合わせて枠を固定しましたが、上下の枠を付けた時に僅かにズレが出ました。
窓縁の部材にも精度があるので、次回からプラマードUを取り付ける際には、一度、上下左右の枠を固定せずにはめ込んで位置関係を確認して、ネジ釘で固定した方が良いと感じました。
手順2)下枠を取り付ける
左右の枠には、上下の枠と密着させるためのクッション材が付いています。
左右の枠がある状態で下枠をはめ込むとクッション材の厚みの分だけ、下枠の長さが長くなるので、たわんでしまいます。
最初は、たわんでも問題ありません。
そのまま下枠を押さえるとクッション材が収縮し、下枠が左右の枠と密着して、ネジ釘で固定すれば、たわみは真っ直ぐになります。
手順3)上枠を取り付ける
上枠も同様に左右の枠のクッション材の収縮により密着した状態で固定できます。
取り付け後の枠と窓縁の隙間は、ほとんどありません。
コーキングするとより密閉できるようですが、隙間なく固定できたので、コーキングはしていません。
手順4)障子(ガラス窓)を枠に入れる
障子(ガラス窓)は、完成品で送られてきますので、窓枠に入れ込むだけです。
室内から見て左側の窓を入れて、次に右側の窓を入れます。
手順5)障子の鍵金具,障子の外れ防止を取り付ける
最後に戸先鍵の受け金具の取り付け,窓の脱落防止金具の取り付けをして完成となります。
後付けできる内窓、プラマードU設置後の効果
プラマードUを設置したのが11月初めで、約1カ月の使用状況を紹介します。
断熱状況
内窓開閉による断熱の違いをSwitchBot 温湿度計を使って温度測定してみました。
環境によって変わる数値になりますが参考にしてください。
部屋は6畳間で、窓は1箇所。エアコンで暖房20℃設定で運転しています。
温度測定箇所は3箇所です。
1)屋外:外気温
2)既存窓と内窓の間:中間温度
3)内窓の室内側:室内温度
測定した結果は下のグラフの通りになります。
21時45分に内窓を閉めると15分後に室内温度が約2℃上昇しました。
深夜1時には暖房を切りました。
早朝4時15分から外気温が一段と冷え込んだようですが、室内温度の変化は穏やかで、徐々に温度が低下して行きます。
同じ状況で内窓有無を評価することはできませんが、内窓を閉めることで断熱効果があると考えます。
体感的にも実感できるレベルで違いがあります。
騒音軽減について
取り付け当日は屋外の風が強く、特に風切り音が大きかったのですが、内窓(プラマードU)を閉めると静かになりました。
今回は断熱が目的だったので、騒音を定量的に測定していませんが、間違いなく騒音低減効果はあると言えます。
使い勝手について
窓が内・外の2重になったことで、換気するために2枚の窓を開け閉めする必要があります。
確かに面倒なのですが、戸先鍵のおかげで鍵の開け閉めは外窓のみなので便利に利用できています。
内窓は、通常の障子窓(紙の窓)の感覚で使用している感覚です。
内窓の鍵を使わなければ良いだけかもしれませんが、戸先鍵でカチッと閉まる感覚も中々いい感じです。
省エネ補助について
今回行った内窓設置は、設置費用の3分の1程度が省エネ補助金の対象になってくる案件になります。
省エネ補助金を貰うには、居間の窓全部に内窓を設置することが条件で、その場合に他の部屋に内窓を設置することも含めて補助金を申請できるようです。
また、建築士による申請が必要なようにも書かれていたので、施工を工務店にお願いするとなると、補助金分の工賃はかかりそうです。
内窓の費用次第で損得があるのでしょうが、自分でDIYした方が得だと判断しました。
自分でやって補助金もらえれば最高ですが、ちょっと理解できませんでした。
どちらにしても内窓の購入費用をどれだけ抑えられるかによるところになります。
安く購入する方法があれば教えて欲しいと思います。
今回は、楽天市場で購入しています。
まとめ
断熱目的に後付けできる内窓であるYKKap プラマードUを設置しました。
それなりに高価な買い物ですが、断熱効果はプラダンやプチプチなどとは違い、段違いの体感となって感じられます。
電力料金が高騰する中、費用対効果で割りに合う投資なのかは計算できていませんが、多少なりとも省電力に貢献でき、電気代が低減し、何よりも暮らしやすい環境を整えることができたことで満足しています。
今後、両親の寝室とキッチンの窓にYKKap プラマードUを取り付けしようと考えています。