ガレージや小屋にエアーコンプレッサー(以下コンプレッサー)を設置して、タイヤ交換を手際よくしたり、ちょっとした塗装を自分でしたりしたいと思いませんか。
エアーガンでプシューっと汚れを落とすなど、コンプレッサーは便利な装置でもあり、存在自体が何だかカッコいいと感じてしまいます。
ただ、コンプレッサーを持っていると便利そうだと思っていても、使用目的がないと選定し難い所もあるので、どのように選定すれば良いのか紹介できればと思います。
コンプレッサーの用途
コンプレッサーは、ポンプで空気を圧縮してタンクにためる装置です。
設定した圧力の空気がタンクにたまれば、圧力スイッチで検出して自動で停止してくれます。
タンクにたまった圧縮空気は、いろいろな用途に利用できますが、用途に応じた空気圧力や空気量があるので、コンプレッサーには種々の仕様が設定されています。
・エアーブラシ・スプレーガンでの塗装
・タイヤ・ボールの空気入れ
・ゴムボート・エアーマットなどの空気入れ
・エアインパクトレンチでタイヤ交換
・・・別記事『エアーインパクトでタイヤ交換もスマートに』
・ブレーキフルード入れ替え
・・・別記事『コンプレッサを使ったブレーキフルード交換』
・釘打機・エアータッカーなどのエアーツールでのDIY
エアコンプレッサーの仕様
コンプレッサーの仕様は、必要な用途を満足しながら、オーバースペックにならないことが大切です。
オーバースペックになると導入費用も高くなり、消費電力も大きくなって電源容量の心配が必要になってきます。
給油有無・・・オイルレス仕様が必要?
圧力・・・一般用は最大0.8MPaが多いが、もっと高圧が必要?
吐出量・・・タンクにためる速さ または 連続使用量は?
タンク容量・・・・一定時間で利用する空気量は?
馬力・・・必要な電源容量は?
オイル式とオイルレス式
オイル式とオイルレス式の選定は次の基準で考えれば良いと思います。
①オイルレス式:塗装や食品清掃に利用する場合
②オイル式:エアにオイルミストが含まれても問題ない用途
オイルレス式の特徴
- オイルでポンプ内を潤滑しない
- 耐久性に劣る
- 連続使用時間が短い
- オイル式に比べて、作動音や振動が大きい
- エアーに油分が含まれないので塗装に使える
オイル式の特徴
- 潤滑と冷却のために機械内部にオイルを使用
- 耐久性に優れている
- 連続使用時間が長い
- エアーに油分が含まれるので塗装には向かない
圧力
家庭用の一般エアコンプレッサーの多くは、タンクに蓄圧が0.8MPaのものです。
多くの用途で0.8MPaで不足はないと思われますが、エアを使用していくと徐々に圧力が低下していくことも念頭においておく必要があります。
タンク内に蓄圧されている圧力は主に0.8MPa→0.5MPaの間で変動します。
コンプレッサーは所定の圧力(例えば0.8MPa)まで蓄圧するとポンプが停止します。
エア工具などを使用してタンク内のエアーを消費していくと圧力が徐々に下がっていき、約0.5MPaまで低下するとポンプが再起動して蓄圧を再開します。
また、タンク内が0.8MPaであっても、減圧バルブの調整により実際に吐出させる圧力は0~0.8MPaの間で調整できるようにもなっています。
馬力による違い
馬力によるエアーコンプレッサーの仕様の違いを下表に示します。
馬力と圧力×吐出量は比例関係なので、圧力が0.8MPaで同じであれば、単純に馬力の小さなコンプレッサーほど吐出量が小さくなり、タンク容量が大きくなればなるほど蓄圧に時間が掛かってしまいます。
馬力の大きいものほど吐出量が多くなり利用しやすくなりますが、消費電力も大きくなってしまいます。
どの程度の電源容量を確保できているのか?
併用して使用する電気消費はないか?
なども考えておかないと、電源ブレーカーがちょくちょく落ちるなど使いにくくなる可能性が出てきます。
馬力 | 定格 消費電力 | 圧力 (最高) | 吐出量 (0MPa) | 吐出量 (最高圧) | タンク 容量 | 参考機種 SK11 |
---|---|---|---|---|---|---|
0.5馬力 | 290W 340W | 0.8MPa | 41L/min 49L/min | 17L/min 20L/min | 4L | SR-045 |
1馬力 | 700W 700W | 0.8MPa | 89L/min 107L/min | 32L/min 38L/min | 25L | SW-131 |
1.5馬力 | 1100W 1200W | 1MPa | 176L/min 210L/min | 62L/min 79L/min | 30L | SW-231 |
タンク容量について
エア消費量の多いツールを長時間使用する場合は、なんども蓄圧しないといけない場面が出てくるので、連続消費時間や蓄圧時間が快適性を左右してきます。
サブタンクの増設によりタンク容量は増加できるので、連続消費時間を長くする手段はありますが、タンク容量が増えると蓄圧する時間が必要になってきます。
馬力の小さなコンプレッサーは吐出量が少ないので、サブタンクで容量を大きくしてもタンク内の圧縮エアを使ってしまえば、再蓄圧に時間が掛かってしまいます。
サブタンクの効果を発揮させるには、一区切りの作業で使用する消費エア量とタンク容量を同じ位にして、作業の合間に蓄圧できるバランスでサブタンク容量を決めます。
サブタンクは後から考えれば良いと思います。
圧力の説明でも記述しましたが、タンク内の圧力は主に0.8MPa~0.5MPaの間で変動します。
よって0.8MPa~0.5MPaの間の使用において、
0.8MPaに近い圧力での使用する場合は、タンク容量が大きいとポンプが再起動する0.5MPaまで低下する時間もかかってしまうので、圧力不足になる時間が長くなることになります。(再起動設定を変更できれば改善できます)
できれば再起動圧力の0.5MPa未満でパワーを発揮するツールを選定した方がタンク容量分をストレスなく利用できるので大容量タンクをより活かすことができます。
使用するツールが0.5MPa以下でパワーを発揮できれば快適
コンプレッサーの馬力による使用目安
コンプレッサーの馬力による使用目安をまとめてみました。
用途 | 0.5馬力 | 1馬力 | 1.5馬力 |
---|---|---|---|
エアーブラシ | 連続使用可 | 連続使用可 | 連続使用可 |
小型スプレーガン | 単発使用 | 断続使用 | 断続使用 |
中大型スプレーガン | 工夫して使用 | 工夫して使用 | 断続使用 |
自動車タイヤ空気入れ | 連続使用可 | 連続使用可 | 連続使用可 |
ダスターガン | 断続使用 | 断続使用 | 断続使用 |
エアー洗浄ガン | 単発使用 | 単発使用 | 断続使用 |
小型インパクトレンチ | 単発使用 | 単発使用 | 断続使用 |
中型インパクトレンチ | 工夫して使用 | 工夫して使用 | 単発使用 |
タッカー | 連続使用可 | 連続使用可 | 連続使用可 |
仕上釘打機 | 断続使用 | 断続使用 | 連続使用可 |
グラインダー | 不可 | 不可 | 工夫して使用 |
エアーコンプレッサー比較
タカギ(高儀),パオック(PAOCK),SK11(エスケー11)のエアーコンプレッサーを例に比較表を作成しました。
吐出量 (0.0MPa) | 吐出量 (最高圧力) | 消費電力 | 作動音 | 使用最高圧力 | リリース 起動圧力 | タンク容量 | 本体サイズ 約mm | 質量 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
高儀 EARTH MAN ACP-25SLA | 50Hz 80L/min 60Hz 96L/min | ー | 570W 590W | 約65dB/m | 約0.8MPa | 約0.5MPa | 25L | 長さ600×幅340×高さ540 | 約21.7kg |
高儀 EARTH MAN ACP-39SLA | 50Hz 120L/min 60Hz 137/min | ー | 620W 710W | 約65dB/m | 約0.8MPa | 約0.5MPa | 39L | 長さ660×幅360×高さ570 | 約25.6kg |
パオック(PAOCK) SOL-0925 | 50Hz 90L/min 60Hz 100L/min | 0Hz 30L/min 60Hz 30L/min | 650W 680W | 約60dB | 約0.8MPa | 約0.5MPa | 25L | 長さ570×幅330×高さ560 | 約24kg |
パオック(PAOCK) SOL-2039 | 50Hz 160L/min 60Hz 180L/min | 50Hz 85L/min 60Hz 105L/min | 1150W 1500W | 65dB | 約0.8MPa | 約0.5MPa | 39L | 長さ680×幅370×高さ730 | 約38kg |
SK11 SR-045 | 50Hz 41L/min 60Hz 49L/min | 50Hz 17L/min 60Hz 20L/min | 290W 330W | 67dB 68dB | 約0.8MPa | 約0.5MPa | 4L | 長さ375×幅335×高さ310 | 10.8kg |
SK11 SW-231 | 50Hz 17L/min 606Hz 210L/min | 50Hz 62L/min 60Hz 79L/min | 1100W 1200W | 67dB 69dB | 約1.0MPa | 約0.8MPa | 30L | 長さ660×幅360×高さ595 | 29kg |
おすすめ機種
パオック(PAOCK) SOL-2039
吐出量が最高圧で50Hz 85L/min、60Hz 105L/minありタンクへの充填も早い機種です。39Lタンクを存分に活かすことができます。
作動音は65dBです。
本体質量は38kgありますが、後輪に大きな車輪が付いているので前輪側のハンドルを持ち上げると比較的簡単に移動できます。
消費電力が50Hz 1150W,60Hz 1500Wと比較的大きいので電源容量の確保を事前に確認した方が良いと思います。
高儀EARTH MAN ACP-25SLA
25Lタンクで約26千円とコスパの良い機種です。
最高圧での吐出量は記載がありませんが、実測で0.5MPa~0.8MPaに回復するのに68秒かかりました。
自動車のタイヤ交換では5本のボルトを緩めて、加えて少し回してエアーを消費させるとポンプが再起動する感じで使用できます。
タイヤの入れ替えをしている間の時間に圧力の回復が完了します。
作動音はパオック(PAOCK) SOL-2039と同等です。
感覚的にはそれほど大きな音ではありません。
ポンプの作動音に比べれば、エアーガンでエア吹きした時の方が大きな音になります。
SK11 SR-045
タンク容量が4Lと小さい割に吐出量が最高圧で50Hz 17L/min、60Hz 20L/minもあるので圧力の回復が10秒もかからない計算になります。
タンクが小さいからとサブタンクを増設するのは、充填時間が長くなるのでおすすめできません。
本体の長さが400mmとコンパクトで質量も約11kgなので使用箇所に持ち運んで利用しやすいエアコンプレッサです。
短時間で断続的に使用して、圧力が下がっても充填時間が短いので回復が速い特徴を活かして利用したいコンプレッサーです。
まとめ
高儀EARTH MAN ACP-25SLAをガレージに設置しました。
設置後3年程度使用していますが、トラブルなく、利用範囲が広がっています。
エアパージの出番が多く、車のエンジンルームや各種フィルターなど思うようにきれいにできます。
また、シーズン毎にタイヤ交換に使用します。
エアーインパクトでホイールナットを外すのは、中々気持ちの良い作業音になりますし筋肉痛になりません。
自動車のブレーキフルードチェンジャーを使用して、ブレーキフルードの交換もしてみました。
汚さずに簡単に実施できて良かったです。
塗装にも使用しました。
エアブラシを購入したのですが、きれいに塗装できて驚きました。
徐々にですがコンプレッサを購入したおかげで、出来る事が広がっていく事が、とても楽しいと感じています。
是非、コンプレッサの導入を検討されることをおすすめします。