キャンプでの経験から、Alpicool製の車載冷蔵庫は、1000Wh電源(Jackery ポータブルバッテリー)があれば、2泊3日の使用も問題ないことがわかりました。(別記事参照)
しかし、アウトドアだけで使うのはもったいないと感じる人もいるでしょう。わが家では、500Lの冷蔵庫と120Lの冷凍庫を普段から使用しているため、車載冷蔵庫を常に追加する必要はありません。とはいえ、どちらかが故障した際の備えとして、一時的な代用として使えるか、その性能を確認してみることにしました。
庫内温度の安定性や電気代はどのくらいなのか。今回は、自宅で使っている三菱電機の121L容量の冷凍庫(MF-U12D-S1)とAlpicoolの車載冷蔵庫を比較しました。
Alpicool車載冷蔵庫の概要

今回使用したのは、Alpicool車載冷蔵庫2室 31L(ポータブル冷蔵庫)です。
この冷蔵庫は、8Lと23Lの独立した2つの部屋に分かれており、それぞれに蓋がついているため、使う部屋だけを開閉できます。蓋にはパッキン(シール)が付いており、密封性も確保されています。
2つの部屋はそれぞれ個別に温度設定ができ、冷凍庫または冷蔵庫として利用可能です。バッテリーは内蔵されていないため、別途電源が必要です。消費電力については、以前の記事でJackery ポータブルバッテリー1000 Pro(1000Wh)での稼働時間を検証しているので、そちらも参考にしてください。
Alpicool車載冷蔵庫2室 31Lの主な仕様
項目 | Alpicool車載冷蔵庫 2室 31Lの仕様 |
---|---|
外側寸法 | 幅61.8cm×奥行37.6cm×高さ44.2cm |
重さ | 13kg |
内容積(小) | (8L) 幅17.2cm×奥行27.8cm×高さ16cm |
内容積(大) | (23L) 幅26cm×奥行27.8cm×高さ33cm |
設定温度 | -20℃〜20℃ |
稼働モード | MAXモード(急速冷却) ECOモード(省エネ運転) |
電源対応 | DC12V/24V , AC100-240V |
定格出力 | 60W |
騒音 | ≦45dB |
Alpicool車載冷蔵庫の冷凍性能比較対象

今回の比較では、Alpicool車載冷蔵庫と、約5年間使用している三菱電機製121L冷凍庫(MF-U12D-S1)を用いました。仕様の比較は以下の通りです。
項目 | Alpicool車載冷蔵庫 2室 31Lの仕様 | 三菱電機 121L冷凍庫 |
---|---|---|
外側寸法 | 幅61.8cm× 奥行37.6cm× 高さ44.2cm | 幅48cm× 奥行59cm× 高さ113cm |
重さ | 13kg | 33kg |
内容積 | 小室(8L) 幅17.2cm× 奥行27.8cm× 高さ16cm 大室(23L) 幅26cm× 奥行27.8cm× 高さ33cm | (121L) 幅46cm× 奥行31cm× 高さ20cm |
設定温度 | 各室-20℃〜20℃ | 弱:中より2〜3℃高め 中:約-18℃ 強:中より2〜3℃低め ※各強度で微調整可能 |
定格出力 | 60W | 電動機:61W 電熱装置:115W 年間消費電力量 405kWh/年 |
三菱電機121L冷凍庫の性能確認

まずは、三菱電機製の121L容量の冷凍庫(MF-U12D-S1)の庫内温度と消費電力を測定しました。
三菱電機121L冷凍庫の設定:冷凍設定『中』(約-18℃)
・庫内ほぼ満載
・ドアの開け閉めはあるが低頻度
庫内温度測定機器:SwitchBot 防水温湿度計
2箇所の温度を測定(上の写真参照)
・上部:ドアポケット
・下部:庫内最下引き出し内
室内温度:SwitchBot 温湿度計プラス
電力測定:ワットチェッカー
15分毎の測定データをプロットしたのが下図です。
冷凍設定は『中』(約-18℃設定)にしました。
それに対する冷凍庫内の温度は、
上部平均 -15.3℃
下部平均 -16.6℃
でした。
安定して、温度差の少ない冷凍性能を発揮していました。
上部温度のフレが少なく安定しているように見えます。(データサンプリングタイミングの影響があるかも)

この間(経過3h以降の安定区間)の、平均消費電力は39W(22.32h,870Wh)でした。
Alpicool車載冷蔵庫の冷凍性能[-15℃設定]
Alpicool車載冷蔵庫2室 31L(ポータブル冷蔵庫)の庫内温度と消費電力を測定しました。
Alpicool車載冷蔵庫の設定温度:大室(-15℃),小室(-15℃)
・庫内は空
・ドアの開け閉め無し
使用モード
・MAXモード(急冷)
・ECOモード(省エネ)
庫内温度測定機器:SwitchBot 防水温湿度計
2箇所の温度を測定
・下部:庫内底面
・上部:庫内上蓋から約5cm下
室内温度:SwitchBot 温湿度計プラス
電力測定:ワットチェッカー
15分毎の測定データをプロットしたのが下図になります。
冷凍設定は、大室(-15℃設定),小室(-15℃設定)にしました。
それに対する冷凍庫内温度は、
上部平均 -6.2℃
下部平均 -11.3℃
でした。
庫内温度の推移は安定していますが、上部の方が5℃程度高いことがわかりました。

この間(経過3h以降の安定区間)の、平均消費電力は
・MAXモード:26W(22.57h,580Wh)
・ECOモード:24W(23.25h,550Wh)
でした。
Alpicool車載冷蔵庫の冷凍性能[-20℃設定]
Alpicool車載冷蔵庫を大室(-15℃)の冷凍設定の庫内温度では、庫内の上下で約5℃の差が見られました。
この原因は、Alpicool車載冷蔵庫の性能によるものだと考えられますが、三菱121L冷凍庫の設定は『中』にしてあるので、設定温度は約-18℃です。
条件を近づけるため、Alpicool車載冷蔵庫の冷凍設定を最低設定になる-20℃にしてみました。
Alpicool車載冷蔵庫の設定:大室(-20℃),小室(-15℃)
・庫内は空
・ドアの開け閉め無し
使用モード
・MAXモード(急冷)
庫内温度測定機器:SwitchBot 防水温湿度計
2箇所の温度を測定
・下部:庫内底面
・上部:庫内上蓋から約5cm下
室内温度:SwitchBot 温湿度計プラス
電力測定:ワットチェッカー
15分毎の測定データをプロットしたのが下図になります。
大室を[-20℃]に設定しても、[-15℃]設定時と同様な傾向だったため測定は短時間でやめました。
冷凍庫内温度は、
上部平均 -8.7℃
下部平均 -15.6℃
でした。(3h以降のデータの平均)
大室の設定温度を[-20℃]に設定したことで、[-15℃]設定の時よりも庫内温度は4℃程度低くなりました。
上部の温度も2.5℃程度下がりました。
ただし、上部と下部の差は、7℃程度まで広がりました。

この間(経過3h以降の安定区間)の、平均消費電力は
・MAXモード:38W
でした。
Alpicool車載冷蔵庫の冷蔵性能
Alpicool車載冷蔵庫は、冷凍庫としても冷蔵庫としても使えます。
大室(23L)を設定温度5℃で冷蔵庫として使用する場合の冷蔵性能を測定しました。
Alpicool車載冷蔵庫の設定:大室(5℃),小室(-15℃)
・庫内は空
・ドアの開け閉め無し
使用モード
・ECOモード(省エネ)
庫内温度測定機器:SwitchBot 防水温湿度計
2箇所の温度を測定
・下部:庫内底面
・上部:庫内上蓋から約5cm下
室内温度:SwitchBot 温湿度計プラス
電力測定:ワットチェッカー
15分毎の測定データをプロットしたのが下図になります。
大室を[5℃]に設定し冷蔵庫として使用し、小室は[-15℃]に設定し冷凍庫として使用するパターンです。
大室の庫内温度は、
上部平均 8.1℃
下部平均 5.9℃
でした。(3h以降のデータの平均)
上部と下部の差は、2℃程度とかなり差がなくなりました。

この間(経過3h以降の安定区間)の、平均消費電力は
・ECOモード:22W
でした。
Alpicool車載冷蔵庫の冷凍性能まとめ
三菱電機121L冷凍庫とAlpicool車載冷蔵庫の冷凍・冷蔵性能の測定結果をまとめると下表のようになります。
測定項目 | 三菱電機 中設定 (約-18℃) | Alpicool 大室-15℃ 小室-15℃ | Alpicool 大室-20℃ 小室-15℃ | Alpicool 大室5℃ 小室-15℃ |
---|---|---|---|---|
上部 平均温度 | -15.3℃ | -6.2℃ | -8.7℃ | 8.1℃ |
下部 平均温度 | -16.6℃ | -11.3℃ | -15.6℃ | 5.9℃ |
下部-上部 (温度差) | 1.3℃ | 5.1℃ | 6.9℃ | 2.2℃ |
平均 消費電力 | 39W | MAX:26W ECO:24W | MAX:38W | ECO:22W |
三菱電機冷凍庫は、庫内温度差がわずか1.3℃と非常に安定しており、優れた性能であることがわかりました。消費電力も39Wと省エネです。
一方、Alpicool車載冷蔵庫は、冷凍使用において、庫内の上下で5℃から7℃と温度差が大きいことが明らかになりました。
消費電力は設定温度によって変わることがわかりました。
また、冷蔵5℃設定では、庫内の温度差が2℃程度となりました。
総合評価
Alpicool車載冷蔵庫は、据え置き型の冷凍庫に比べ、冷凍使用時の庫内温度の安定性では劣ります。しかし、冷凍庫として使えないレベルではありません。
また、大室を冷蔵設定にして使用し、小室を冷凍設定で使用することができるので、使い方のバリエーションが増える優位性を持っています。
そして、コンパクトで持ち運びやすいため、置き場所に困らず、すぐに移動できるという大きなメリットがあります。価格面でも、Alpicool車載冷蔵庫が2万円台、三菱電機冷凍庫が4万円台と差があります。
どちらを選ぶかは、主な利用目的や予算を考慮して検討することをおすすめします。今回の測定が、あなたの製品選びの参考になれば幸いです。