マウンテンバイクと言うと、先ず野山を駆け抜けられる自転車をイメージされるかもしれませんが、通勤や通学に利用するのにも適したオールマイティーな自転車なんです。
また、色々なタイプのマウンテンバイクがある奥の深さから、どのタイプのマウンテンバイクを購入すれば良いのか選びきれない方も多いのではないでしょうか。
先ずは、通勤・通学での使用を前提にマウンテンバイクを紹介したいと思います。
マウンテンバイクの定義
マウンテンバイクの定義はどのようになっているのでしょうか?
マウンテンバイク(mountain bike、MTB)とは、荒野、山岳地帯等での高速走行、急坂登降、段差越えなどを含む広範囲の乗用に対応して、軽量化並びに耐衝撃性、走行性能および乗車姿勢の自由度等の向上を図った構造の自転車のこと。舗装路でも広く利用されており、用途によって様々な形態が存在する。シクロクロスバイクとともにオールテレインバイク(All terrain bike、ATB、全地形対応二輪車)と呼ばれている。
正確ではありませんが、私が感じているマウンテンバイクと呼ぶべき仕様を述べます。
- フラットハンドルまたはライズバーハンドル
- 固定ギヤではなく変則機構がある
- タイヤ幅が2インチ~3インチ程度、それ以上も(ファットバイクもMTB?)
- タイヤ径が26インチ~29インチ程度
- 悪路走破できる強度を持つ設計がされている
『悪路走破できる強度を持つ設計』と言う、何が基準なのか理解できない要素を書きましたが、ちょっと悪路を走って車体に影響が出るようじゃ困ります。
強度が〇〇以上などの数値もないですし、最近のMTBであればフレームがブースト規格で設計されているなどの区分かもしれません。
マウンテンバイクを通勤に使う動機
マウンテンバイクを通勤・通学に使う動機はなんでしょうか?
- マウンテンバイクの太いブロックタイヤがカッコいい
- 普段着やヘルメットを被らないなどの軽装備でも良さそう
- フラットペダルにして靴を選ばなくても良い
- 道路の段差などで不安定になりにくい
- 途中に面白い悪路があって走りたい
などでしょうか。
動機に良い悪いがあるはずがなく、個々人で思い描くスタイルで良いと思います。
マウンテンバイクの太いブロックタイヤがカッコいい
マウンテンバイクと言えば、悪路を苦にしないブロックタイヤの存在が目立ちますが、スリックタイヤであってもマウンテンバイクであることに変わりはありません。
ただ、ブロックタイヤはカッコいいんですね!
特に太いのが良くないですか?
ブロックのパターンも色々あって、楽しめる一面です。
Maxxis Minion DHR II タイヤ (EXO – TR)
雪国の冬にはスパイクタイヤの選択もありえます。
そこまでして通勤するかは別問題です。
そんなカッコいいブロックタイヤですが、はっきり言ってタイヤの重さは半端ありません。
前後のタイヤとチューブだけで2kg超えも結構あります。
タイヤが重いと回すのに力が必要になることは想像できると思います。
重いなぁと感じる方は、タイヤを軽くしたり、抵抗を減らせるタイヤセンターに山の少ないセミスリック系のタイヤやバッサリとスリックに変更して、走りを軽快にすることもできます。
クロスバイクとマウンテンバイクの違い
クロスバイクとマウンテンバイクの境目はどこにあるのかと考えるのですが、タイヤ幅が一つの区切りになっていると思います。
クロスバイクは径700×幅25~40(mm)
マウンテンバイクは径26~29×幅2~3(インチ)≒幅50~75mm
このタイヤ幅の違いは、自転車の乗り味に大きな変化をもたらし、両者が明らかに違うことを実感できる部分になります。
スイスイ走るのはクロスバイクで、タイヤがクルクル回転してくれます。
ただ、乗り味はタイヤが受けた衝撃が伝わりやすくガチガチな感じです。
マウンテンバイクもスイスイ走りますが、言葉は同じスイスイでもクロスバイクとは違い、大きなタイヤが転がっている感覚が強く、タイヤのクッションにより路面の変化が和らかくなって伝わってきます。
自転車の乗り味の好みは人それぞれですが、衝撃による疲れは結構あるので、その意味ではMTBの柔らかさはとても優しいと感じます。
普段着やヘルメットを被らないなどの軽装備でも良さそう
MTBは普段着で乗りましょう。ただヘルメットは被った方が良いですね。
スピードも20km/h以上は出ますし、悪路走破性が良いので過信して段差を超えようなんて考えてしまうかもしれないので、万一を考えてヘルメットを被るべきです。
マウンテンバイク用のヘルメットはツバが付いているので、ロードバイク用ヘルメットのようにキノコ頭に見えにくいのが嬉しいところです。
フラットペダルにして靴を選ばなくても良い
フラットペダルに抵抗のある人は少ないと思います。
通勤・通学にビンディングは不要でしょう。
食い付きの良いスパイク付きのフラットペダルでいきましょう。
道路の段差などで不安定になりにくい
道路の段差に対する安定感は、マウンテンバイクはロード系の自転車と比べようのない安定感をもたらします。
この安定感は、タイヤサイズによるものであり、前屈になりにくいジオメトリーのおかげでもあります。
フロントやリヤにショックアブソーバーのあるMTBであれば、なおのこと段差に対する対応が安定します。
この安定感が過信になるようにさえ思いますが、ロードバイクではリム打ちが気になってしまう段差や細いタイヤがとられるような道路の継ぎ目なども全くと言って良いほど気にならないのがマウンテンバイクです。
途中に面白い悪路があって走りたい
通勤・通学の途中に面白い悪路があったら、マウンテンバイクなら寄っていかないわけにはいきません。
本能みたいなもんですね。
わざと悪路を選んでしまいたくなる遊び心が出てしまうのが、マウンテンバイクの良さです。
通勤・通学が2倍楽しくなってしまいます。
通勤・通学に使用したいマウンテンバイク
通勤・通学に使用したいマウンテンバイクとしては、2通りの選択ではないかと考えています。
安価なハードテイルMTB
通勤・通学に使う動機として、「途中に面白い悪路があって走りたい」という、悪く言うと危険行為が入らないのであれば、5万円程度から上のMTBの選択が妥当だと思います。
この価格帯で購入できるMTBはハードテイルバイクです。
ハードテイルバイクとはリアにショック機構のないMTBのことで、フロントフォークにショック機構が備わっています。
フロントにもショック機構のないものはフルリジッド,リアとフロントの両方にショック機構のあるものはフルサスペンションと言います。
5万円程度の範疇には、シマノやSRAMなどの一流メーカーの主流コンポを使用していない、いわゆるルック車もありますが、ルック車を否定する必要はないと思います。
好きなスタイルの物を購入すれば良いし、ルック車が弱くて直ぐに故障する自転車と言うこともありません。
自転車の大まかな部品は
・フレーム
・フロントフォーク
・ホイール、タイヤ
・サドル,シートポスト
・ハンドル、ステム
・ブレーキ系統
・変速機系統
・クランク,BB
になり、これらの単価と組み立て工賃の合算を5万円で造るとなると、相当なコストカットによる製造が必要になることは想像ができます。
ルック車を製造および部品を供給する各社には敬意を払わずにはいられません。
ただ、確りした部品で造られているMTBの方が長く快適に乗れることも事実だと考えています。
軽量で強度があり、変則もスムーズで、精度の高い部品が使われていてトラブルが少なくなります。
メンテナンスも流用できる部品が多く存在し、自分でいじる楽しさも加わります。
できうる限り、使用部品の構成をみて購入したいところです。
ハイグレードなハードテイルMTB
通勤・通学に使う動機として、「途中に面白い悪路があって走りたい」という、悪く言うと危険行為を考えるのであれば、10万円程度から上のハイグレードなハードテイルMTBを検討しましょう。
フレーム強度のあるブースト規格でスルーアクスルを使用し、コンポはシマノDeore以上またはSRAM NXイーグル以上、ブレーキもシマノまたはSRAM、フロントフォークはRockShoxまたはFOXなど、より精度の高い部品を選択していくことで、耐久性が向上し、ハードなアクションへの追従性も上がります。
上記部品は絶対ではありませんが、自分の中では一つの基準だとは思います。
きっと「途中に面白い悪路」は「面白いレース」に変わることでしょう。
クロスカントリー(登り下りのある悪路競技)での利用を基準にメーカーの宣伝を確認していけば、気に入ったMTBを見つけることができます。
それでも入門機種なんだから奥が深いのがMTBの面白さです。
先ずは、入門機を購入しておけば、一定の遊びに付き合ってくれるので、その後で次のステップに進むかを考えればいいのです。
ハイグレードなハードテイルMTBは、快適な通勤・通学にプラスアルファの楽しさをもたらしてくれると思います。
MTBの購入先
さて、MTBをどこで購入するのかについて考えるならば、近くの自転車屋さんがベストだと思います。
ちょっとしたメンテナンスを依頼するのも近くに行きつけの自転車があった方が便利です。
ただし、自転車屋さんにお世話になる頻度は多くもないとも考えられます。
ネット上の情報が豊富で、問題の解決は自分でできる方も多いので、遠くの自転車屋さんや通販でも良いでしょう。
自転車のブランドを決めている場合は、取り扱いのできるショップでしか買えない場合もあります。
通販で購入するのであれば、ワールドワイドな選択も視野に国内通販と比較した方が良いでしょう。
海外通販であれば、Wiggle,Chain Reaction Cycles,キャニオン,スペシャライズド公式オンラインストアなどです。
国内であれば、Amazon,楽天市場,パナソニック,ワイズロードです。
選択したいMTB例
いくつかのメーカーのMTBで通勤・通学に使用したいモデルを紹介します。
安価なハードテイルMTBの例
TREK(トレック)
ラインナップが豊富できめ細かいトレックで例を上げます。
トレックはアメリカ ウィスコンシン州に中枢を持つ自転車業界を代表するメーカーです。
店売りオンリーなので、トレック販売店のみで購入できます。
トレック販売店の印象ですが、色々相談しても、きちんと説明してくれるお店ばかりです。
きちんと対応できるお店でないと提携できないようになっているように思います。
製造から販売まで信頼できる一流メーカの製品であれば安価なモデルでも安心して購入できます。
車重:M – 14.50 kg
コンポ:Shimano Altus 8×2スピード
タイヤ:M-29×2.20″
Fフォーク:M-SR Suntour XCT 30, coil spring, lockout, 100mm QR, 100mm travel
車重:M – 13.77 kg
コンポ:Shimano Deore 10×1スピード
タイヤ:M-29×2.20″
Fフォーク:M-RockShox Judy, coil spring, lockout, 100mm QR, 100mm travel
CANYON(キャニオン)
キャニオンは、ドイツ・コブレンツに中枢を置いて、研究開発とデザインを行っている有名メーカーです。
キャニオン公式ストアでのみ販売しているので、個人でメーカーから直接購入するスタイルになります。
キャニオンの印象として、対応がめちゃくちゃ早いです。
以前にキャニオン公式ストアで自転車を購入した際は、1週間しない内に届きました。
日本に置いてあるんじゃないかと思うほどでした。
メーカー直接販売なので、メーカーの棚卸日は自転車を動かせないことをサイトで通知しているほどです。
車重:平均- 13.13 kg
コンポ:Shimano Deore 12×1スピード
タイヤ:M-29×2.25″
Fフォーク:M-SR Suntour XCR, coil spring, lockout, 100mm QR, 100mm travel
ハイグレードなハードテイルMTB
TREK(トレック)
車重:M – 13.8 kg
コンポ:SRAM SX Eagle 12×1スピード
タイヤ:M-29×2.20″
Fフォーク:M-RockShox Judy SL, Solo Air spring, lockout, , Boost110, 15mm , 100mm travel
フレーム:アルミニウム,Boost 141 リアハブ規格 141, 5mm QR
CANYON(キャニオン)
車重:M – 13.99 kg
コンポ:SRAM SX Eagle 12×1スピード
タイヤ:M-29×2.20″
Fフォーク:M-RockShox Judy Silver, Solo Air spring, lockout, , Boost110, 15mm , 120mm travel
フレーム:アルミニウム,Boost 148 リアハブ規格12x148mm thru-axle
まとめ
通勤・通学に自転車の利用を考える時に、ロードバイクやクロスバイクのロード系バイクの選定も間違いではありません。
きっと爽快な通勤・通学を約束してくれるはずです。
さらに今回紹介したMTBを使用すれば、安定した走行性により、安全安心な通勤・通学が可能になります。
他にも色々な自転車がありますので、ご自身に適した自転車を見つけていただければと思います。